行政法 第310問
教材: 行政法②
予備試験 H29 第23問
論点: 国家賠償と損失補償
問題
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教員:今日は損失補償と国家賠償の違いについて考えてみましょう。国家賠償と比べた損失補償の特徴は何でしょうか。
学生:一つ目の特徴としては、損失補償について定めた一般法は存在しないということです。(ア)【個別法に損失補償を認める規定が存在しない場合には、裁判を提起して損失補償を求めることはできないと解されています。】
教員:なるほど。では、その他の特徴は何でしょうか。
学生:損失補償は、適法な公権力の行使により特別の犠牲が生じた場合に、平等負担の見地から認められるものですので、公権力の行使が適法であることが前提とされています。
教員:そこでいう特別の犠牲とは、財産上の損害に限られるのでしょう。
学生:難しい問題ですが、(イ)【予防接種による副作用被害が問題となった事案では、生命や身体に対する損害であっても損失補償の対象になり得ると主張されました。しかし、このような損失補償による救済を明示的に認めた最高裁判所の判例はありません。】
教員:それでは、最後の質問ですが、損失補償が認められる場合に、その補償はどの程度の額でなければならないのでしょうか。
学生:はい、損失補償に際しては「正当な補償」が必要であると解されています。ただ、(ウ)【第二次世界大戦後の農地改革をめぐる最高裁判所の判例では、この「正当な補償」の額は、その当時の経済状態において成立すると考えられる価格と完全に一致することを要しないとされました。】
公式解答
5. ア× イ○ ウ○
正誤・解説
ア /
個別法に損失補償を認める規定が存在しない場合には、裁判を提起して損失補償を求めることはできないと解されている。
判例は、個別法上の根拠規定がなくても、直ちに損失補償請求の余地が否定されるわけではないとしています。したがって、この記述は誤り。
イ /
予防接種による副作用被害が問題となった事案では、生命や身体に対する損害であっても損失補償の対象になり得ると主張された。しかし、このような損失補償による救済を明示的に認めた最高裁判所の判例はありません。
予防接種事件では、生命・身体への損害も損失補償の対象になり得るという議論はありますが、最高裁がそれを明示的に認めた判例まではないと整理されています。
ウ /
第二次世界大戦後の農地改革をめぐる最高裁判所の判例では、この「正当な補償」の額は、その当時の経済状態において成立すると考えられる価格と完全に一致することを要しないとされました。
農地改革判例は、正当な補償額について当時の経済状態において成立する価格に基づく合理的算定を認め、常に完全一致までは求めないとしています。
全体要旨
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