行政法 第296問
教材: 行政法②
予備試験 H27 第24問
論点: 国家賠償法
問題
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A.「刑事事件において無罪の判決が確定したというだけで直ちに起訴前の逮捕・勾留、公訴の提起・追行、起訴後の勾留が違法となることはない。けだし、逮捕・勾留はその時点において犯罪の嫌疑について相当な理由があり、かつ、必要性が認められるかぎりは適法であり、公訴の提起は、検察官が裁判所に対して犯罪の成否、刑罰権の存否につき審判を求める意思表示にほかならないので、起訴時あるいは公訴追行時における検察官の心証は、その性質上、判決時における裁判官の心証と異なり、起訴時あるいは公訴追行時における各種の証拠資料を総合勘案した合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があれば足りると解するのが相当であるからである。」
ア.「逮捕状は発付されたが,被疑者が逃亡中のため,逮捕状の執行ができず,逮捕状の更新が繰り返されているにすぎない時点で,被疑者の近親者が,被疑者のアリバイの存在を理由に,逮捕状の請求,発付における捜査機関又は令状発付裁判官の被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があったとする判断の違法性を主張して,国家賠償を請求することは許されないものと解するのが相当である。ただし,右の時点において前記の各判断の違法性の有無の審理を裁判所に求めることができるものとすれば,その目的及び性質に照らし密行性が要求される捜査の遂行に重大な支障を来す結果となるのであって,これは現行法制度の予定するところではないといわなければならないからである。」
イ.「税務署長のする所得税の更正は,所得金額を過大に認定していたとしても,そのことから直ちに国家賠償法一条一項いう違法があったとの評価を受けるものではなく,税務署長が資料を収集し,これに基づき課税要件事実を認定,判断する上において,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と更正をしたと認め得るような事情がある場合に限り,右の評価を受けるものと解するのが相当である。」
ウ.「不動産の強制競売事件における執行裁判所の処分は,債権者の主張、登記簿の記載その他記録にあらわれた権利関係の外形に依拠して行われるものであり,その結果関係人間の実体的権利関係との不適合が生じることがありうるが,これについては執行手続の性質上,強制執行法に定める救済の手続により是正されることが予定されているものである。したがって,執行裁判所みずからのその処分を是正すべき場合等特別の事情がある場合は格別,そうでない場合には権利者が右の手続による救済を求めることを怠ったため損害が発生しても,その賠償を国に対して請求することはできないものと解するのが相当である。」
公式解答
2. イ
正誤・解説
A /
「刑事事件において無罪の判決が確定したというだけで直ちに起訴前の逮捕・勾留、公訴の提起・追行、起訴後の勾留が違法となることはない。…有罪と認められる嫌疑があれば足りる」
無罪確定だけで直ちに違法とはせず、逮捕・勾留や公訴提起等は当時の嫌疑や必要性、合理的判断過程に照らして違法性を判断する立場である。
ア /
逮捕状発付後に被疑者が逃亡中で執行できず更新が続く段階では、近親者がアリバイを理由に令状請求・発付の違法を主張して国家賠償請求することは許されない。
この判例は、違法性の有無の審理を裁判所に求めることができるとすれば密行性の高い捜査に重大な支障を来すという理由付けで、Aの立場とは異なると説明されている。
イ /
所得税の更正が過大でも直ちに違法ではなく、資料収集や認定判断において職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさず漫然と更正した場合に限り国家賠償法一条一項の違法となる。
更正処分の違法は、単なる過大認定では足りず、税務署長が通常尽くすべき注意義務を尽くさずに更正したような場合に限るとする。Aに最も近い。
ウ /
不動産の強制競売事件では、執行裁判所の処分は外形に依拠して行われ、救済手続による是正が予定されているから、特別事情がない限り、その救済を怠ったための損害について国に賠償請求できない。
執行裁判所の処分は外形に基づくが、救済手続が予定されているとして直ちに国賠請求を否定するのではなく、Aの考え方とは異なるとされる。
全体要旨
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