行政法 第265問
教材: 行政法②
司法試験 H25 第34問
論点: 懲戒処分差止と確認訴訟
問題
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最高裁判所平成24年2月9日第一小法廷判決(民集66巻2号183頁)は、次のような事案における教職員からの訴えについて判断を示しているが、次のアからエまでの各記述について、同判決の判示内容として、それぞれ正しい場合には1を、誤っている場合には2を選びなさい。
(1) 教育委員会は、公立高等学校等の各校長に対し、卒業式等の式典の実施に当たっては国歌斉唱の際に教職員は会場に掲揚された国旗に向かって起立して斉唱するなど所定の実施指針のとおり行うものとすること等を示達する通達を発し、各校長は、同通達を踏まえ、毎年度、卒業式や入学式等の式典に際し、多数の教職員に対し、国歌斉唱の際に国旗に向かって起立して斉唱することを命ずる旨の職務命令(以下「本件職務命令」という。)を発している。
(2) 本件職務命令に従わない教職員については、過去の懲戒処分の対象と同様の非違行為を再び行った場合には処分を加重するという方針の下に、おおむね、その違反が1回目は戒告、2、3回目は減給、4回目以降は停職という処分量定がされ、懲戒処分が反復継続的かつ累積加重的にされる危険があり、また、その違反及びその累積が懲戒処分の処分事由及び加重事由との評価を受けることに伴い、勤務成績の評価を通じた昇給等に係る不利益という行政処分以外の処遇上の不利益が反復継続的かつ累積加重的に発生し拡大する危険がある。
公式解答
正解 / 1211
正誤・解説
ア /
処分の差止めの訴えについて行政事件訴訟法第37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があると認められるためには、処分がされることにより生ずるおそれのある損害が、処分がされた後に取消訴訟又は無効確認訴訟を提起して執行停止の決定を受けることなどにより容易に救済を受けることができるものではなく、処分がされる前に差止めを命ずる方法によるのでなければ救済を受けることが困難なものであることを要する。
最判平成24年2月9日は、差止めには、事後の取消訴訟や執行停止では容易に救済できず、事前に止めなければ回復困難であることが必要だとした。
根拠条文:行政事件訴訟法37条の4第1項・e-Govで法令を開く行政事件訴訟法・e-Govを開く
行政事件訴訟法37条の4第1項―現行条文本文
差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。
ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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イ /
教職員が本件職務命令の違反を理由とする懲戒処分の差止めを求める訴えについては、処分の取消訴訟等を提起して執行停止の決定を受けることにより容易に救済を受けることができるから、前記(1)、(2)などの事情があるからといって、行政事件訴訟法第37条の4第1項所定の「重大な損害を生ずるおそれ」があるということはできない。
判決は、反復継続的・累積加重的な懲戒の危険や回復困難性を踏まえ、事後救済では足りない場合があるとして「重大な損害」を肯定し得るとした。
根拠条文:行政事件訴訟法37条の4第1項・e-Govで法令を開く行政事件訴訟法・e-Govを開く
行政事件訴訟法37条の4第1項―現行条文本文
差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。
ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。
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ウ /
教職員が本件職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴えは、本件職務命令の違反を理由としてされる蓋然性のある懲戒処分の差止めの訴えを法定の類型の抗告訴訟として適法に提起することができ、本案において当該義務の存否が判断の対象となるという事情の下では、上記懲戒処分の予防を目的とするいわゆる無名抗告訴訟としては、他に適当な争訟方法があるものとして、不適法である。
判決は、義務不存在確認を本案とする訴えは、差止め訴訟との関係で事前救済の補充性を欠き、無名抗告訴訟としては不適法とした。
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エ /
教職員が本件職務命令に基づく義務の不存在の確認を求める訴えは、前記(1)、(2)などの事情の下では、本件職務命令の違反を理由とする行政処分以外の処遇上の不利益を予防するための公法上の法律関係に関する確認の訴えとして、確認の利益がある。
判決は、処分以外の不利益の予防を目的とする公法上の法律関係確認としては、確認の利益を認め得るとした。
根拠条文:行政事件訴訟法37条の4第1項・e-Govで法令を開く
行政事件訴訟法37条の4第1項―現行条文本文
差止めの訴えは、一定の処分又は裁決がされることにより重大な損害を生ずるおそれがある場合に限り、提起することができる。
ただし、その損害を避けるため他に適当な方法があるときは、この限りでない。
行政事件訴訟法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:15:02)
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全体要旨
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