行政法 第189問
教材: 行政法②
司法試験 H21 第30問
論点: 土地区画整理事業計画事件
問題
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最高裁判所平成20年9月10日大法廷判決(以下「本判決」という。)は、土地区画整理法に基づく土地区画整理事業計画の決定が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると判断したが、本判決に関する次のアからエまでの各記述について、誤っているものの個数を、後記1から5までの中から選びなさい。
ア.最高裁判所の従来の判例は、言わば事業の青写真たるにすぎない一般的抽象的な単なる計画にとどまるなどとして土地区画整理事業計画の決定の処分性を否定していたが、本判決は、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的抽象的なものにすぎなくとも抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとして判例を変更した。
イ.都市計画法に基づき都市計画決定の一つとしてされる工業地域指定の決定の処分性を否定した最高裁判所の判例があるが、本判決の理由に従えば、同指定の決定についても、当該地域内において建築物の建築が制約されるという法的効果が発生するから、処分性が肯定されることになる。
ウ.土地改良法に基づく国営又は都道府県営の土地改良事業の事業計画の決定について行政上の不服申立てが認められていることを根拠の一つとして、市町村営の土地改良事業に関し都道府県知事が行う事業施行の認可の処分性を認めた最高裁判所の判例があるが、本判決も、土地区画整理事業計画の決定に行政上の不服申立てが認められていることを理由に処分性を認めた。
エ.都市再開発法に基づく第二種市街地再開発事業の施行地区内の土地の所有者等は、特段の事情のない限り、自己の所有地等が収用されるべき地位に立たされるなど、その法的地位に直接的な影響を受けるとして、当該事業に係る事業計画の決定の処分性を認めた最高裁判所の判例があるが、本判決も、土地区画整理事業の事業計画の決定の施行地区内の宅地所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすとの理由で同事業計画の決定の処分性を認めた。
公式解答
3. 3個
正誤・解説
ア /
最高裁判所の従来の判例は、言わば事業の青写真たるにすぎない一般的抽象的な単なる計画にとどまるなどとして土地区画整理事業計画の決定の処分性を否定していたが、本判決は、事業計画の決定に伴う法的効果が一般的抽象的なものにすぎなくとも抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとして判例を変更した。
従来判例は土地区画整理事業計画の決定を、一般的・抽象的な計画であって直ちに処分性を否定していた。本判決は、事業計画決定により権利制限に向けた法的効果が生じる点を重視して処分性を肯定したので、「法的効果が一般的抽象的なものにすぎなくとも」とする点が不正確。
根拠条文:行政事件訴訟法3条第2項・e-Govで法令を開く行政事件訴訟法31条第1項・e-Govで法令を開く
行政事件訴訟法3条第2項―現行条文本文
この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
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行政事件訴訟法31条第1項―現行条文本文
取消訴訟については、処分又は裁決が違法ではあるが、これを取り消すことにより公の利益に著しい障害を生ずる場合において、原告の受ける損害の程度、その損害の賠償又は防止の程度及び方法その他一切の事情を考慮したうえ、処分又は裁決を取り消すことが公共の福祉に適合しないと認めるときは、裁判所は、請求を棄却することができる。
この場合には、当該判決の主文において、処分又は裁決が違法であることを宣言しなければならない。
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イ /
都市計画法に基づき都市計画決定の一つとしてされる工業地域指定の決定の処分性を否定した最高裁判所の判例があるが、本判決の理由に従えば、同指定の決定についても、当該地域内において建築物の建築が制約されるという法的効果が発生するから、処分性が肯定されることになる。
説明では、工業地域指定は建築制約という法的効果があっても、個々人に対する具体的権利侵害を伴う処分とはいえず、従来判例を本判決が直ちに変更する関係にはないとされている。したがって、処分性が肯定されるとするのは誤り。
ウ /
土地改良法に基づく国営又は都道府県営の土地改良事業の事業計画の決定について行政上の不服申立てが認められていることを根拠の一つとして、市町村営の土地改良事業に関し都道府県知事が行う事業施行の認可の処分性を認めた最高裁判所の判例があるが、本判決も、土地区画整理事業計画の決定に行政上の不服申立てが認められていることを理由に処分性を認めた。
説明では、土地改良事業の判例は不服申立ての可否を重要な要素として処分性を肯定したが、本判決は土地区画整理事業計画に行政不服申立てが認められていることを理由にしたのではないとされる。したがって、この記述は誤り。
根拠条文:土地区画整理法87条6項及び7項・e-Govを開く行政不服審査法10条第2項・e-Govを開く行政不服審査法96条の2第5項・e-Govを開く
行政不服審査法10条第2項―現行条文本文
第十条 (法人でない社団又は財団の審査請求)
法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名で審査請求をすることができる。
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エ /
都市再開発法に基づく第二種市街地再開発事業の施行地区内の土地の所有者等は、特段の事情のない限り、自己の所有地等が収用されるべき地位に立たされるなど、その法的地位に直接的な影響を受けるとして、当該事業に係る事業計画の決定の処分性を認めた最高裁判所の判例があるが、本判決も、土地区画整理事業の事業計画の決定の施行地区内の宅地所有者等の法的地位に直接的な影響を及ぼすとの理由で同事業計画の決定の処分性を認めた。
説明では、第二種市街地再開発事業の判例と同様に、本判決も施行地区内の宅地所有者等が事業計画決定により換地処分を受けるべき地位に立たされ、法的地位に直接的な影響を受けることを理由に処分性を認めたとされている。
全体要旨
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