行政法 第94問
教材: 行政法①
予備試験 R05 第17問
論点: 行政上の義務履行確保手段
問題
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教員:まず、行政主体が有する金銭債権に行政上の強制徴収の手段が法律で認められている場合、当該行政主体は、当該金銭債権に係る債務の履行を求める民事訴訟を提起することができますか。
学生:(ア)【金銭債権に行政上の強制徴収という簡易迅速な手段が認められている以上、その手段によることなく、当該金銭債権に係る債務の履行を求める民事訴訟を提起することは許されないものと解されます。】
教員:では、地方公共団体が、条例に基づく建築工事の中止命令に従わない者に対し、当該工事の続行禁止を求める民事訴訟を提起することはできますか。
学生:(イ)【建築工事の中止命令の不履行があったときにこれを強制的に履行させるための手段が当該条例に定められていない場合であれば、当該工事の続行禁止を求める民事訴訟を提起することは許されるものと解されます。】
教員:ところで、建築工事を中止すべき義務のような不作為義務は、行政代執行法による代執行の対象とはなりませんか。
学生:(ウ)【代執行の対象となる義務は代替的作為義務に限られますから、不作為義務が対象となることはありません。】
教員:代執行の要件について、行政代執行法ではどのように定められていますか。
学生:(エ)【義務者が義務を履行しないというだけでは足りず、他の手段によってその履行を確保することが困難であるか、又はその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められることが必要です。】
公式解答
正解 / 1212
正誤・解説
ア /
金銭債権に行政上の強制徴収という簡易迅速な手段が認められている以上、その手段によることなく、当該金銭債権に係る債務の履行を求める民事訴訟を提起することは許されないものと解されます。
最高裁は、行政上の強制徴収手段が認められていても、原則として民事訴訟による履行請求を直ちに否定していない。特別の制限がある場合を除き、提訴は可能とされる。
イ /
建築工事の中止命令の不履行があったときにこれを強制的に履行させるための手段が当該条例に定められていない場合であれば、当該工事の続行禁止を求める民事訴訟を提起することは許されるものと解されます。
行政事件訴訟法3条1項の「法律上の争訟」に当たるかは、自治体が行政権の主体として国民に義務履行を求める訴えであることなどから否定される。条例に強制手段がないことだけで、民事訴訟提起が当然に許されるわけではない。
ウ /
代執行の対象となる義務は代替的作為義務に限られますから、不作為義務が対象となることはありません。
行政代執行法2条1項は、行政庁が自ら又は第三者により代わって行うことのできる行為についての義務を対象とする。不作為義務はその性質上、代執行の対象ではない。
根拠条文:行政代執行法2条1項・e-Govを開く
エ /
義務者が義務を履行しないというだけでは足りず、他の手段によってその履行を確保することが困難であるか、又はその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められることが必要です。
行政代執行法2条1項は、義務不履行に加え、他の手段で履行確保が困難であること、または不履行を放置することが著しく公益に反することを要件としている。
根拠条文:行政代執行法2条1項・e-Govを開く
全体要旨
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