行政法 第91問
教材: 行政法①
司法試験 H26 第18問
論点: 建築工事中止の命令違反
問題
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甲市は、条例により、(1)甲市内においてパチンコ店の建築をしようとする者は市長の同意を得なければならないこと、(2)市長は、商業地域以外の用途地域においては、上記の同意をしないものとすること、及び(3)市長は、上記の同意を得ないでパチンコ店の建築をしようとする者に対し、建築の中止等の命令を発することができると定めていた。ただし、上記命令の違反に対する罰則は、定められていなかった。Aは、パチンコ店を建築しようとして、本件条例に基づく建築の同意を申請したが、甲市長Bは、建築予定地が準工業地域に属することから、本件条例に基づき、不同意とした。しかし、Aが建築工事に着手したため、Bは、本件条例に基づき、建築工事中止命令(以下「本件命令」という。)を発した。これに対し、Aが工事を続行したため、甲市は、Aを相手取って、工事の続行禁止を求める民事訴訟(以下「本件訴え」という。)を提起した。
公式解答
2221
正誤・解説
ア /
本件命令は行政指導の性質を有するにすぎず、そもそも法的強制になじまないから、本件訴えは不適法である。
本件命令は、法令に基づき特定人に建築工事中止を直接命ずる不利益処分であり、行政指導ではない。したがって、法的強制になじまないという前提が誤りで、本件訴えが直ちに不適法になるわけでもない。
イ /
仮に、本件命令違反に対する罰則が本件条例に置かれている場合には、Bは、行政代執行法に基づく代執行により、本件命令に基づく義務の履行を確保することができる。
建築工事中止義務は、他人が代わってすることのできない不作為義務であり、行政代執行法の対象となる「代替的作為義務」ではない。したがって、代執行で履行確保はできない。
根拠条文:行政代執行法2条・e-Govを開く
ウ /
仮に、本件命令違反に対する執行罰の規定が本件条例に置かれている場合には、Bは、Aに対して執行罰としての過料を課すことにより、本件命令に基づく義務の履行を確保することができる。
条例に執行罰の規定を置くことはできないとされる。本件命令のような行政上の義務履行確保について、条例で過料による執行罰を定めることは許されない。
根拠条文:行政代執行法1条・e-Govを開く
エ /
本件訴えは、法規の適用の適正ないし一般公益の保護を目的とするものであって、自己の権利利益の保護救済を目的とするものではないから、法律上の争訟に当たらない。
最高裁は、自治体が行政上の義務履行を求める訴えについて、法規適用の適正・一般公益保護を目的とするものとして、自己の権利利益の保護救済を目的とする争訟には当たらないとした。本件も同様である。
根拠条文:裁判所法3条1項・e-Govを開く
全体要旨
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