行政法 第9問
教材: 行政法①
司法試験 H19 第24問
論点: 行政法の諸原則
問題
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ア 行政には自らの活動を各種の手段を通じて国民に説明する責務があるとする説明責任の原則は,アカウンタビリティ(accountability)の原則と呼ばれることに示されるように,アメリカに固有な制度に由来するものであり,我が国の法令の目的規定等において明文で掲げられた例はない。
イ 地方自治法第2条第14項は,行政活動は経済性,効率性等の見地から適切なものでなければならないとの原則を明文化したものである。しかし,この原則は行政内部にのみ妥当するものであるから,専門の機関である監査委員等のみがその統制を行うことができ,住民訴訟等において裁判所が同原則の違反を統制することは許されない。
ウ 地方公共団体の企業誘致施策が変更されたことによる損害の賠償を誘致の相手方の企業が請求した事件において,最高裁判所は,特定の者に対する行政の具体的勧誘を伴う場合であって,求められた活動が長期にわたる施策の継続を前提として初めてこれに投入する資金や労力に相応する効果を生じ得るものであるときには,代償的措置を講ずることなく施策を変更することは,それがやむを得ない客観的事情によるのでない限り,信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯びる,と判断した。
エ ある産業廃棄物処理施設の建設計画があることを知った地方公共団体が,規制対象事業場に認定された処理施設について一定区域内におけるその操業を禁止する水源保護条例を制定した上で,当該処理施設を規制対象事業場に認定した事例において,最高裁判所は,認定前における事業者との協議の規定が条例に盛り込まれていたことなどに照らすならば,当該地方公共団体には,事業者と十分に協議し,水源保護の目的にかなうよう事業内容を改めるなどの指導をして,その他位を不当に害することのないよう配慮する義務がある,と判断した。
公式解答
2211
正誤・解説
ア /
行政には自らの活動を各種の手段を通じて国民に説明する責務があるとする説明責任の原則は,アカウンタビリティ(accountability)の原則と呼ばれることに示されるように,アメリカに固有な制度に由来するものであり,我が国の法令の目的規定等において明文で掲げられた例はない。
説明責任(アカウンタビリティ)の原則について,情報公開法1条は行政機関の保有情報の公開を図り,政府の諸活動を国民に説明する責務を全うさせることを目的とすると明記している。したがって,明文例がないとするのは誤り。
根拠条文:情報公開法1条・e-Govを開く
イ /
地方自治法第2条第14項は,行政活動は経済性,効率性等の見地から適切なものでなければならないとの原則を明文化したものである。しかし,この原則は行政内部にのみ妥当するものであるから,専門の機関である監査委員等のみがその統制を行うことができ,住民訴訟等において裁判所が同原則の違反を統制することは許されない。
地方自治法2条14項はそのような原則を定めるが,住民監査請求や住民訴訟の対象となる「違法」には,その違反も含まれうる。裁判所がまったく統制できないというのは誤り。
ウ /
地方公共団体の企業誘致施策が変更されたことによる損害の賠償を誘致の相手方の企業が請求した事件において,最高裁判所は,特定の者に対する行政の具体的勧誘を伴う場合であって,求められた活動が長期にわたる施策の継続を前提として初めてこれに投入する資金や労力に相応する効果を生じ得るものであるときには,代償的措置を講ずることなく施策を変更することは,それがやむを得ない客観的事情によるのでない限り,信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯びる,と判断した。
企業誘致事件では,特定の者への具体的勧誘と長期継続を前提とする投資等がある場合,代償措置なしの施策変更は信頼保護の観点から違法になりうるとされた。設問は判例の趣旨に沿う。
エ /
ある産業廃棄物処理施設の建設計画があることを知った地方公共団体が,規制対象事業場に認定された処理施設について一定区域内におけるその操業を禁止する水源保護条例を制定した上で,当該処理施設を規制対象事業場に認定した事例において,最高裁判所は,認定前における事業者との協議の規定が条例に盛り込まれていたことなどに照らすならば,当該地方公共団体には,事業者と十分に協議し,水源保護の目的にかなうよう事業内容を改めるなどの指導をして,その他位を不当に害することのないよう配慮する義務がある,と判断した。
水源保護条例事件では,条例上の協議規定などから,自治体に事業者と十分協議し,必要な指導を行い,相手方の地位を不当に害しないよう配慮すべき義務を認めた。設問は判例の結論に合致する。
全体要旨
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