行政法 第6問
教材: 行政法①
予備試験 H30 第13問
論点: 信義則の法理
問題
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A:納税者が、所得税について、青色申告の承認を受けることなく、青色申告書による確定申告をしたところ、税務署長が青色申告の承認があるかどうかの確認を怠り申告書を受理し、さらに、翌年分以降の所得税についても青色申告用紙を送付し、青色申告書による確定申告を受理するなどしてきた事案に関する最高裁判所昭和62年10月30日第三小法廷判決(裁判集民事152号93頁)は、(ア)【租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係において、信義則の法理の適用が認められるどうかの判断に当たっては、納税者が税務官庁の表示した公的見解を信頼して行動した後に、その表示に反する課税処分が行われたため、経済的不利益を受けることになったかどうか、また、その表示を信頼し、その信頼に基づいて行動したことについて納税者に帰責事由がないかどうか、という点の考慮が不可欠であると判断したもの。】
B:地方公共団体が一定内容の継続的な施策を決定し、特定の者に対し同施策に適合する特定内容の活動を促す個別的具体的な勧告ないし勧誘をし、当該特定の者も、相当長期にわたる同施策の継続を前提にして初めて投入した資金や労力に相応する効果を生じ得るような性質の特定内容の活動を行ったが、その後の施策の変更により、当該特定の者に看過し得ない程度の積極的損害が発生した事案に関する最高裁判所昭和56年1月27日第三小法廷判決(民集35巻1号35頁)は、(イ)【上記事情の下において上記損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむを得ない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯びると判断したもの。】
C:原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律等に基づき被爆者に対して支給される健康管理手当の受給権につき、法令上の根拠がないのに、被爆者が国外に居住地を移した場合に失権の取扱いとなるものと定めた違法な通達に基づき、地方公共団体が支給を打ち切った事案に関する最高裁判所平成19年2月6日第三小法廷判決(民集61巻1号122頁)は、(ウ)【上記通達に基づき違法な事務処理をしていた地方公共団体が、未支給の健康管理手当の支給義務を免れるために消滅時効を主張することは、特段の事情のない限り、信義則に反し許されないと判断したもの。】
公式解答
1. ア○ イ○ ウ○
正誤・解説
ア /
租税法律主義の原則が貫かれるべき租税法律関係において、信義則の法理の適用が認められるどうかの判断に当たっては、納税者が税務官庁の表示した公的見解を信頼して行動した後に、その表示に反する課税処分が行われたため、経済的不利益を受けることになったかどうか、また、その表示を信頼し、その信頼に基づいて行動したことについて納税者に帰責事由がないかどうか、という点の考慮が不可欠であると判断したもの。
昭和62年10月30日判決の要旨として、税務官庁の公的見解を信頼して行動した納税者に不利益が生じ、しかも納税者側に帰責事由がないことなどを重視した判断である。
イ /
上記事情の下において上記損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむを得ない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯びると判断したもの。
昭和56年1月27日判決は、代償措置なく施策変更することが信頼関係を不当に破壊する場合は違法になり得るとしたものとして整理できる。
ウ /
上記通達に基づき違法な事務処理をしていた地方公共団体が、未支給の健康管理手当の支給義務を免れるために消滅時効を主張することは、特段の事情のない限り、信義則に反し許されないと判断したもの。
平成19年2月6日判決は、違法通達に基づく処理をしていた自治体が消滅時効を援用して支給を免れるのは、特段の事情がない限り信義則違反として許されないとした。
全体要旨
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