民法 第767問
教材: 民法⑤
司法試験 H30 第7問(改)
論点: 要件事実
問題
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Aは,Bとの間でAが所有する甲土地を売却する旨の売買契約(以下「本件第1売買契約」という。)を締結し,Bからその代金の支払を受けたが,AからBへの所有権移転登記手続をせず,Cとの間で甲土地を売却する旨の売買契約(以下「本件第2売買契約」という。)を締結し,AからCへの所有権移転登記手続をした。その後,Aは行方不明になり,Bは,Cに対し,所有権に基づいてCからBへの移転登記手続請求訴訟を提起した。この場合に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
公式解答
1. ア ウ
正誤・解説
ア /
Bは,請求原因として,Aが甲土地を所有していたこと,本件第1売買契約の成立及びCの登記の存在を主張立証しなければならない。
判例上,Bの請求原因は「自分が甲土地の所有権を取得したこと」までで足り,Aが所有していたことやCの登記の存在まで当然に要するわけではない。
イ /
Cは,対抗要件の抗弁を主張する場合には,本件第2売買契約の成立及びCが本件第2売買契約締結当時,本件第1売買契約について善意無過失であったことを主張立証しなければならない。
判例では、対抗要件の抗弁を出すCは、本件第2売買契約の成立やC名義の登記などを基礎づければ足り、第一次売買についての善意無過失までは要しないと整理されている。
根拠条文:民法177条・e-Govで法令を開く
民法177条―現行条文本文
第百七十七条 (不動産に関する物権の変動の対抗要件)
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
民法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:46)
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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ウ /
Cは,BがBのCに対する登記請求権を行使することができる時から20年以上行使していなかったとしても,その登記請求権の時効による消滅をもって,抗弁とすることはできない。
登記請求権は所有権に基づく登記請求権であり,判例はその性質上,消滅時効にかからないとしている。したがって,20年以上不行使でも時効消滅の抗弁はできない。
根拠条文:民法166条第2項・e-Govで法令を開く
民法166条第2項―現行条文本文
債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
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エ /
Cが抗弁として本件第2売買契約の成立及びCの登記がこれに基づくことを主張立証した場合,Bは,Cが本件第2売買契約締結当時,本件第1売買契約について悪意であったことをもって,再抗弁とすることができる。
判例では、Cの再抗弁として問題になるのは単なる悪意ではなく、背信的悪意者に当たる事情が必要である。したがって、悪意であったことだけを再抗弁とすることはできない。
根拠条文:民法177条・e-Govで法令を開く
民法177条―現行条文本文
第百七十七条 (不動産に関する物権の変動の対抗要件)
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
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オ /
本件第2売買契約がAの錯誤によるものである場合,Cが抗弁として本件第2売買契約の成立及びCの登記がこれに基づくことを主張立証したときは,Bは,本件第2売買契約についてAに法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要な部分の錯誤があることをもって,再抗弁とすることができる。
錯誤による取消しは、原則として意思表示した本人側の問題であり、Bが当然に再抗弁として主張できるものではない。判例の整理上も、この記述は不適切である。
根拠条文:民法95条第1項・e-Govで法令を開く民法120条第2項・e-Govで法令を開く
民法95条第1項―現行条文本文
意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
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民法120条第2項―現行条文本文
錯誤、詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵かしある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。
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