民法 第764問
教材: 民法⑤
予備試験 H27 第11問
論点: 双務契約の債権・債務関係
問題
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AがA所有の宝石を代金100万円でBに売却した際、その宝石の代金債務と宝石の引渡債務の履行期を同一とすることがAB間で合意された。この事例に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
公式解答
3. イ エ
正誤・解説
proposition_1 /
A及びBが各自の債務を履行した後に、第三者Cの詐欺を理由としてBがAB間の売買契約を取り消した場合、AのBに対する宝石代金の返還債務とBのAに対する宝石の返還債務とは、同時履行の関係にある。
売買契約の取消しにより原状回復義務が生じ、金銭返還と目的物返還は対価的・牽連的関係に立つため、同時履行になるとする判例の趣旨に合致する。
根拠条文:民法533条・e-Govで法令を開く民法96条第1項・e-Govで法令を開く民法121条・e-Govで法令を開く民法121条の2第1項・e-Govで法令を開く
民法533条―現行条文本文
第五百三十三条 (同時履行の抗弁)
双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。
ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
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民法96条第1項―現行条文本文
詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
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民法121条―現行条文本文
第百二十一条 (取消しの効果)
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
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民法121条の2第1項―現行条文本文
無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。
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proposition_2 /
AがBに対する宝石の代金債権を第三者Dに譲渡してBにその旨を通知した後、Bが遅滞なく異議を述べなかった場合、Bは、Dからの宝石代金の支払請求に対し、同時履行の抗弁権を行使することができない。
債権譲渡後も、対抗要件備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗できるかが問題となる。判例は、同時履行の抗弁権を一定の場合に譲受人へ対抗できるとするため、この記述は誤り。
根拠条文:民法467条第1項・e-Govで法令を開く民法468条第1項・e-Govで法令を開く
民法467条第1項―現行条文本文
債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
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民法468条第1項―現行条文本文
債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。
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proposition_3 /
AがBに対して別の貸金債務を負っている場合、BのAに対する宝石の代金債務についてその履行期が到来しても、Aは、AのBに対する宝石の引渡債務について弁済又はその提供をしていないときは、AのBに対する宝石の代金債権とBのAに対する別の貸金債権を対当額で相殺することができない。
同時履行関係にある債権については、債務の本旨に従った履行提供がされるまで相殺を制限するのが判例の立場であり、記述はこれに沿う。
根拠条文:民法505条第1項・e-Govで法令を開く
民法505条第1項―現行条文本文
二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。
ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
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proposition_4 /
AがBに対して宝石代金の支払を求める訴えを提起した場合、Bの同時履行の抗弁が認められるときは、Aの請求は全部棄却される。
同時履行の抗弁が認められても、裁判所は請求を全面棄却するのではなく、相手方の履行と引換えに履行を命ずる形で判断するのが判例の趣旨なので誤り。
proposition_5 /
BがAに対して宝石の引渡債務の履行遅滞に基づく損害賠償を求める訴えを提起した場合、Bが宝石の代金債務の弁済の提供をしていないときは、Bの請求は全部棄却される。
同時履行関係では、反対給付の提供がないまま損害賠償請求をしても、相手方は同時履行の抗弁を主張でき、判例は請求を直ちに認めない。記述は判例趣旨に合致する。
根拠条文:民法415条第1項・e-Govで法令を開く
民法415条第1項―現行条文本文
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
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全体要旨
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