民法 第591問
教材: 民法④
司法試験 H30 第27問(改)
論点: 和解の確定効
問題
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公式解答
2. ア オ
正誤・解説
ア /
AがBに対してAB間の売買契約に基づく甲不動産の引渡しを請求したが、Bがこれを拒否したため争いを生じた場合には、AB間で、BがAに対して係争物とは全く関係のない不動産を譲り渡す旨の和解契約を締結することはできない。
和解は争いの目的となる権利だけでなく、その争いを終わらせるために当事者が別の給付を約することもあり得る。判例は、係争物と無関係な物の給付を約しても直ちに和解の本質に反しないとしている。
根拠条文:民法695条・e-Govで法令を開く
民法695条―現行条文本文
第六百九十五条 (和解)
和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。
民法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:46)
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イ /
Aから債権を買い受けたBとその債権の債務者であるCとの間で和解契約が締結された。この和解に際しては、その債権に係る支払額が争われ、AB間の売買契約が有効か否かは争われていなかったが、後に売買契約が無効であることが判明したときは、Bは、当該和解契約の錯誤による取消しを主張することができる。
判例は、和解の前提となる事項に錯誤があれば、事情によっては95条(現95条)の適用が問題になり得るとしている。売買の有効性が争われていなくても、和解の基礎にかかわる重要な前提なら錯誤取消しが認められる余地がある。
根拠条文:民法696条・e-Govで法令を開く民法95条第1項・e-Govで法令を開く
民法696条―現行条文本文
第六百九十六条 (和解の効力)
当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。
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民法95条第1項―現行条文本文
意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
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ウ /
Aは、Bとの賭博に負けたため、Cに事情を話して小切手を振り出させ、これらの経緯を知るBに交付したところ、B C間で、小切手の支払金額につき争いが生じ、和解契約が成立した。この場合、BC間の和解契約は公序良俗に反し無効である。
賭博の負けをめぐる実質は、公序良俗違反の金銭支払を目的とするもので、和解名義でもその実質が違法性を帯びる場合は無効となる。判例も、和解の体裁でも違法な金銭授受の確定を図るものは公序良俗違反としている。
根拠条文:民法90条・e-Govで法令を開く
民法90条―現行条文本文
第九十条 (公序良俗)
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
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エ /
Aは、Bの運転する自動車と接触し負傷したため、Bに対し損害賠償を請求したところ、AB間で、全損害を把握し難い状況の下において、BがAに対して早急に少額の賠償金を支払い、Aはそれ以外請求しない旨の和解契約が成立した。その後、Aに和解契約の当時は予期得なかった後遺症が生じた。この場合、Aは、Bに対し、新たに生じた後遺症につき損害賠償を請求することができる。
示談が、当時予想できた損害についてのみ解決する趣旨であれば、後に予想外の後遺症が生じてもその部分まで放棄したとはいえない。判例は、合理的意思に合わない広すぎる放棄解釈を否定している。
オ /
Aは、自己の所有する建物をBに賃貸したが、Bが賃料の支払を遅滞したため、Bに対して賃料の支払を請求し、AB間で、Bが以後賃料の支払を1か月分でも怠ったときには賃貸借契約は当然解除となる旨の和解契約が成立した。この場合、その後に賃料の不払があったときは、Bは、信頼関係の不破壊を主張して解除の効力を争うことができない。
賃貸借の和解条項でも、当事者の信頼関係や合意の趣旨から、直ちに将来の当然解除まで当然に承認したとは限らない。判例は、特段の事情がない限り、和解成立時の事情を踏まえて合理的に解釈すべきとする。
全体要旨
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