民法 第550問
教材: 民法④
司法試験 H26 第26問
論点: 賃貸借
問題
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賃貸借契約において敷金が差し入れられていた場合
公式解答
正解 / 2 / 4
正誤・解説
1 /
建物の賃貸借契約において、目的建物の譲受人が賃借人たる地位を承継した場合、敷金は譲渡人に対する賃貸借契約上の債務があらかじめ充当された上で譲受人に承継されるため、賃借人は、賃貸借契約が終了し目的建物を明け渡したときは、譲受人に対し、敷金の返還を請求することができる。
判例は、建物の所有権移転に伴い賃借人の地位が承継される場合、旧賃貸人への未払賃料等があれば敷金はその弁済に当然充当され、残額について新賃貸人に承継されるとする。したがって、明渡し後は新賃貸人に返還請求できる。
根拠条文:民法605条の2第4項・e-Govで法令を開く民法608条・e-Govで法令を開く民法622条の2第1項・e-Govで法令を開く
民法605条の2第4項―現行条文本文
第一項又は第二項後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、第六百八条の規定による費用の償還に係る債務及び第六百二十二条の二第一項の規定による同項に規定する敷金の返還に係る債務は、譲受人又はその承継人が承継する。
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民法608条―現行条文本文
第六百八条 (賃借人による費用の償還請求)
賃借人は、賃借物について賃貸人の負担に属する必要費を支出したときは、賃貸人に対し、直ちにその償還を請求することができる。
賃借人が賃借物について有益費を支出したときは、賃貸人は、賃貸借の終了の時に、第百九十六条第二項の規定に従い、その償還をしなければならない。
ただし、裁判所は、賃貸人の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。
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民法622条の2第1項―現行条文本文
賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
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2 /
土地の賃貸借契約において、目的土地上の建物の所有権が土地賃借権とともに譲渡され、その土地賃借権の譲渡について賃貸人の承諾がある場合、敷金についての権利関係も土地賃借権とともに移転するため、土地賃借権の譲受人は、契約が終了し目的土地を明け渡したときは、賃借人に対し、譲渡人が差し入れていた敷金の返還を請求することができる。
土地賃貸借における敷金契約は賃貸借とは別個の契約であり、賃借権譲渡に伴って当然に新賃借人へ承継されるものではない。したがって、譲受人が差入敷金の返還を当然に請求できるとはいえない。
根拠条文:民法622条の2第1項・e-Govで法令を開く
民法622条の2第1項―現行条文本文
賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
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3 /
建物の賃貸借契約において、契約が終了し目的建物が明け渡された後に敷金の返還請求がされた場合、賃料の未払があるときは、敷金が当然に充当されるため、賃貸人が賃借人に相殺の意思表示をする必要はない。
敷金は賃貸借終了・明渡し時に、未払賃料等があれば当然に充当される。したがって、返還請求時に相殺の意思表示を要しないとするのが判例の趣旨である。
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民法622条の2第1項―現行条文本文
賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
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4 /
敷金は賃借人が賃貸借期間中に負担する債務を担保するものであるから、賃借人は、賃料の未払がある場合であっても、差し入れてある敷金をもって賃料債務に充当する旨を主張することにより、敷金の額に満つるまでは、未払賃料の支払を拒むことができる。
敷金は賃貸人が受け取っている金銭で、賃借人が一方的に賃料へ充当して支払拒絶できるものではない。賃借人は未払賃料の支払義務を免れない。
根拠条文:民法622条の2第2項・e-Govで法令を開く
民法622条の2第2項―現行条文本文
賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。
この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。
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5 /
建物の賃貸借契約において、敷金返還請求権は、賃貸借契約が終了し目的建物が明け渡された時点において、それまでに生じた被担保債権を控除した残額につき具体的に発生するものであるから、賃貸借契約が終了した後であっても、目的建物が明け渡される前においては、転付命令の対象とはならない。
敷金返還請求権は、終了・明渡し時に被担保債権を控除した残額として具体化する。明渡し前は金額が未確定で、原則として転付命令の対象にならない。
全体要旨
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