民法 第513問
教材: 民法④
司法試験 H29 第27問(改)
論点: 売主の責任
問題
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A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約(以下「本件売買契約」という。)が締結された場合
公式解答
1
正誤・解説
1 /
本件売買契約が締結された時に、Aが甲土地を他の者に譲渡する意思がなく、BがAから甲土地の所有権を取得することができない場合であっても、本件売買契約は有効に成立する。
他人物売買でも、売主が目的物の所有権を取得して買主へ移転できない場合が直ちに契約無効となるわけではない。判例は、売買契約自体の有効成立を認める。
根拠条文:民法561条・e-Govで法令を開く民法542条第1項・e-Govで法令を開く民法542条第1項第1号・e-Govで法令を開く
民法561条―現行条文本文
第五百六十一条 (他人の権利の売買における売主の義務)
他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
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民法542条第1項―現行条文本文
次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
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民法542条第1項第1号―現行条文本文
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
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2 /
Bが死亡し、AがBを単独で相続したときは、Aは、Cに対し、甲土地の売主としての履行を拒むことはできない。
権利者が売主を相続しても、相続によって売主の地位まで当然に承継されるわけではない。判例は、相続人でも売主としての履行義務を直ちに負わないとしている。
3 /
Cが甲土地の引渡しをBから受けると同時にBに対して甲土地の代金を支払ったが、Bが甲土地の所有権を取得することができなかったことから、Cは、本件売買契約を解除した。その後、CがAから甲土地の引渡しを請求されたときは、Cは、Bから甲土地の代金の返還を受けるまで、甲土地を留置することができる。
他人物売買で売主が所有権を取得できず契約解除が問題となっても、買主が目的物返還を拒んで代金返還を間接強制する関係はない。留置権の成立も否定される。
根拠条文:民法295条第1項・e-Govで法令を開く
民法295条第1項―現行条文本文
他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。
ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
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4 /
本件売買契約が締結された時にBが甲土地の所有権がBに属しないことを知らず、Cが甲土地の所有権がBに属しないことを知っていた場合において、Bが甲土地の所有権を取得してCに移転することができないときは、Bは、Cに対し、甲土地の所有権を移転することができない旨を通知して、本件売買契約を解除することができる。
他人物売買で解除が問題となるのは、原則として売主が所有権を取得できず、かつ買主もその事情を知らなかった場合などである。設問は買主が知っていたので、売主の解除は認められない。
根拠条文:民法555条・e-Govで法令を開く民法541条・e-Govで法令を開く
民法555条―現行条文本文
第五百五十五条 (売買)
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
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民法541条―現行条文本文
第五百四十一条 (催告による解除)
当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。
ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。
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5 /
Cが本件売買契約の締結時に甲土地の所有権がBに属しないことを知らなかった場合において、Bが甲土地の所有権を取得してCに移転することができないときは、Cは、甲土地の所有権がBに属しないことを知った時から1年以内に限り、本件売買契約を解除することができる。
民法566条は、不適合を知った時から1年以内という枠組みを定めるが、他人物売買で売主が権利を取得して移転できない場合は適用対象外となる。
根拠条文:民法561条・e-Govで法令を開く民法542条第1項・e-Govで法令を開く民法566条・e-Govで法令を開く
民法561条―現行条文本文
第五百六十一条 (他人の権利の売買における売主の義務)
他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
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民法542条第1項―現行条文本文
次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
一 債務の全部の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。
四 契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。
五 前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。
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民法566条―現行条文本文
第五百六十六条 (目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)
売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。
ただし、売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。
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全体要旨
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