民法 第466問
教材: 民法③
司法試験 H21 第23問(改)
論点: 隔地者間の申込みと承諾
問題
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A(東京在住)は、友人の美術品愛好家B(京都在住)が所有する複数の掛け軸のうち掛け軸「甲」を手に入れたいと考えた。そこで、AはBに対し、4月1日、そのための手紙を出し、この手紙は4月3日にBに届いた(以下これを「本件手紙」という。)。この場合において、AB間の甲の売買契約の成立及びその時期に関する次の1から5までの各記述のうち、正しいものはどれか。なお、日付は、本問において、すべて同じ年のものである。
公式解答
2
正誤・解説
p1 /
本件手紙が「甲などお手持ちの掛け軸について、お譲りくださいませんでしょうか。」というものであり、これに対し、Bが4月4日、「100万円でよろしければ甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し、この手紙が4月6日にAに届いたところ、AがBに、4月7日、「甲を100万円でお譲りくださいとのこと、ありがとうございます。」という手紙を出し、この手紙が4月9日にBに届いた場合、甲の売買契約は4月4日に成立する。
「お譲りくださいませんでしょうか。」は申込みの誘引であり、Bの「100万円でよろしければ…」が申込み、Aの「ありがとうございます。」が承諾となる。契約成立時期は承諾が到達した時で、4月4日ではない。
根拠条文:民法522条・e-Govで法令を開く民法97条第1項・e-Govで法令を開く
民法522条―現行条文本文
第五百二十二条 (契約の成立と方式)
契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
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民法97条第1項―現行条文本文
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
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p2 /
本件手紙が「甲を100万円でお譲りください。」というものであり、これに対し、Bが4月4日、「100万円で甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し、この手紙が4月6日にAに届いた場合、甲の売買契約が4月6日に成立する。
Aの文言が申込み、Bの「100万円で甲をお譲りします。」が承諾である。契約は承諾の通知がAに到達した4月6日に成立する。
根拠条文:民法522条・e-Govで法令を開く民法97条第1項・e-Govで法令を開く
民法522条―現行条文本文
第五百二十二条 (契約の成立と方式)
契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
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民法97条第1項―現行条文本文
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
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p3 /
本件手紙が「甲を100万円でお譲りください。」というものであり、これに対し、Bが4月4日、「120万円でよろしければ甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し、この手紙が4月6日にAに届いたところ、AがBに、4月7日、「それでは120万円で甲をお譲りください。」という手紙を出し、この手紙が4月9日にBに届いた場合、甲の売買契約が4月7日に成立する。
Bの「120万円でよろしければ」は条件付承諾ではなく、申込みの拒絶と新たな申込みになる。その後、Aが4月7日に承諾したので、成立時期は4月7日ではあるが、設問文は4月7日成立として正誤判断上は不適切でなくとも、解説では選択肢全体として×とされている。
根拠条文:民法528条・e-Govで法令を開く
民法528条―現行条文本文
第五百二十八条 (申込みに変更を加えた承諾)
承諾者が、申込みに条件を付し、その他変更を加えてこれを承諾したときは、その申込みの拒絶とともに新たな申込みをしたものとみなす。
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p4 /
本件手紙が「甲を100万円でお譲りください。」というもので、4月3日午後3時にBに届いたが、Aは、本件手紙を投函した後、気が変わり、4月3日午後9時に、「本件手紙が届くかと思いますが、事情により、甲をお譲り願う件はなかったことにしてください。」という内容の文書をファクシミリでBに送信し、当該ファクシミリ文書は同日中にB宅に届いた。しかし、Bは、4月4日、「100万円で甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し、この手紙が4月6日にAに届いた場合、甲の売買契約が4月4日に成立する。
申込みは承諾の通知が到達するまで撤回できるが、この例では撤回通知が同日に到達しており有効。したがってAの申込みは失効し、Bの返事で契約は成立しない。
根拠条文:民法525条第1項・e-Govで法令を開く民法525条第2項・e-Govで法令を開く民法97条第1項・e-Govで法令を開く
民法525条第1項―現行条文本文
承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。
ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
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民法525条第2項―現行条文本文
対話者に対してした前項の申込みは、同項の規定にかかわらず、その対話が継続している間は、いつでも撤回することができる。
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民法97条第1項―現行条文本文
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
p5 /
本件手紙が「甲を100万円でお譲りください。」というものであったが、Aは、手紙を投函した後、気が変わり、4月2日午後9時、「本件手紙が届くかと思いますが、事情により、甲をお譲り願う件はなかったことにしてください。」という内容の文書をファクシミリでBに送信し、当該ファクシミリ文書は同日にB宅に届いているため、Bは、4月5日、「100万円で甲をお譲りします。」という返事の手紙を出し、この手紙はAに届いているが、甲の売買契約は成立しない。
申込みは相手方に到達するまで効力を生じないので、B到達前の撤回は有効。Aの申込みは失効しており、Bの承諾が届いても契約は成立しない。
根拠条文:民法97条第1項・e-Govで法令を開く民法522条・e-Govで法令を開く民法525条第1項・e-Govで法令を開く
民法97条第1項―現行条文本文
意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
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第五百二十二条 (契約の成立と方式)
契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
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民法525条第1項―現行条文本文
承諾の期間を定めないでした申込みは、申込者が承諾の通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは、撤回することができない。
ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
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