民法 第374問
教材: 民法③
司法試験 R05 第18問
論点: 詐害行為取消権
問題
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AがBとの間の売買契約に基づきBに対して200万円の売買代金債権を有している。この場合における詐害行為取消権に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。なお、各記述において、Bは無資力であり、各行為が債権者を害することを知っていたものとする。
公式解答
4. ウ オ
正誤・解説
p1 /
支払不能の状態にあるBは、Cに対する債務を弁済した。この場合、Aを害する意図がCにあったとしても、Bとの通謀がなければ、Aは、当該弁済について詐害行為取消請求をすることができない。
債務者の弁済について詐害行為取消しを認めるには、原則として受益者との通謀が必要とされる。通謀がない以上、債権者は原則として取消しを求められない。
根拠条文:民法424条の3第1項・e-Govで法令を開く民法424条の3第1項第1号・e-Govで法令を開く民法424条の3第1項第2号・e-Govで法令を開く
民法424条の3第1項―現行条文本文
債務者がした既存の債務についての担保の供与又は債務の消滅に関する行為について、債権者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する場合に限り、詐害行為取消請求をすることができる。
一 その行為が、債務者が支払不能(債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。次項第一号において同じ。)の時に行われたものであること。
二 その行為が、債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたものであること。
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民法424条の3第1項第1号―現行条文本文
一 その行為が、債務者が支払不能(債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。次項第一号において同じ。)の時に行われたものであること。
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民法424条の3第1項第2号―現行条文本文
二 その行為が、債務者と受益者とが通謀して他の債権者を害する意図をもって行われたものであること。
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p2 /
Bは、Dに対する500万円の借入金債務について、Bが所有する2000万円相当の土地をもってDに代物弁済した。この場合において、当該代物弁済が債権者を害することをDが知っていたときは、Aは、Dに対し、当該代物弁済のうち500万円に相当する部分以外の部分について詐害行為取消請求をすることができる。
代物弁済の目的物価額が債務額を超えるときは、超過部分について取消しの対象となる。債権者を害することを受益者が知っていれば、その超過部分について取消請求が可能。
根拠条文:民法424条の4・e-Govで法令を開く
民法424条の4―現行条文本文
第四百二十四条の四 (過大な代物弁済等の特則)
債務者がした債務の消滅に関する行為であって、受益者の受けた給付の価額がその行為によって消滅した債務の額より過大であるものについて、第四百二十四条に規定する要件に該当するときは、債権者は、前条第一項の規定にかかわらず、その消滅した債務の額に相当する部分以外の部分については、詐害行為取消請求をすることができる。
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p3 /
Bは、Aとの間で売買契約を締結する前に、Eに対する債権をFに譲渡していたものの、その譲渡についての確定日付のある証書によるEへの通知は、Aの売買代金債権の発生後にされた。この場合、Aは、当該通知について詐害行為取消請求をすることができる。
債権譲渡の対抗要件具備のための通知は、原則として譲渡行為とは別個の行為であり、通知自体が詐害行為といえる場合は限られる。譲渡通知が売買代金債権発生後でも、ただちに取消しの対象とはならない。
根拠条文:民法424条第1項・e-Govで法令を開く民法424条第3項・e-Govで法令を開く
民法424条第1項―現行条文本文
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。
ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
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民法424条第3項―現行条文本文
債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
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p4 /
AとBとの間で、売買代金債権について強制執行をしない旨の合意が成立していた。この場合、Bがその所有する土地をGに贈与し、当該贈与が債権者を害することをGが知っていたとしても、Aは、当該贈与について詐害行為取消請求をすることができない。
強制執行をしない旨の合意があると、その債権は強制執行で実現できない。したがって、その債権を被保全債権として詐害行為取消権を行使することはできない。
根拠条文:民法424条第4項・e-Govで法令を開く
民法424条第4項―現行条文本文
債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。
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p5 /
Bがその所有する動産甲をHに贈与し、更にHが甲をIに贈与し、それぞれ引渡しがされた。この場合において、Aは、Iに対する詐害行為取消請求において財産返還を請求することができるときは、Hに対する詐害行為取消請求において価額償還を請求することができない。
転得者に対する請求で財産返還が可能でも、前転得者に対して価額償還請求ができる場合がある。両者は排他的ではないので、この記述は誤り。
根拠条文:民法424条第6項・e-Govで法令を開く
民法424条第6項―現行条文本文
第四百二十四条 (詐害行為取消請求)
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。
ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。
債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。
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全体要旨
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