民法 第369問
教材: 民法③
司法試験 H20 第17問
論点: 詐害行為取消権
問題
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【見解】
共同で抵当権の目的とされた不動産の全部又は一部の売買契約が詐害行為に該当する場合において、詐害行為の後に弁済によって抵当権が消滅したときは、詐害行為の目的不動産の価額から当該不動産が負担すべき抵当権の被担保債権の額を控除した残額の限度で売買契約を取り消し、その価格による賠償を命ずべきであり、価格賠償の額は、詐害行為の目的不動産の価額から、共同抵当の目的とされた各不動産の価額に応じて抵当権の被担保債権額を案分して詐害行為の目的不動産について得られた額を控除した額である。
【事案】
債務超過にあったAは、その所有する甲土地(時価4000万円)、乙土地(時価1000万円)及び丙土地(時価1000万円)をYに廉価で売り渡した。上記売買当時、甲土地及び乙土地にはB信用金庫の共同抵当権が設定されていたが、上記売買後その被担保債権3000万円が全額弁済され、当該抵当権の設定登記は抹消された。その後、Aの債権者(債権額3500万円)Xは、詐害行為取消権に基づいて上記売買契約を取り消し、所有権移転登記の抹消登記手続等を求めた。
公式解答
5
正誤・解説
p1 /
甲土地の売買については2000万円の限度で取り消し、乙土地の売買については500万円の限度で取り消し、丙土地の売買については全部を取り消して、Yに対し2500万円の価格賠償及び丙土地の現物返還を命ずる。
甲・乙は共同抵当の目的物なので、抵当権の被担保債権3000万円を各土地の価額に応じて案分し、詐害行為目的物について得られた額を控除して取消・価格賠償の限度を決める。甲1600万円、乙400万円となるため、本肢の額は合わない。
根拠条文:民法392条・e-Govで法令を開く民法424条・e-Govで法令を開く民法424条の6第1項・e-Govで法令を開く
民法392条―現行条文本文
第三百九十二条 (共同抵当における代価の配当)
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。
この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
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民法424条―現行条文本文
第四百二十四条 (詐害行為取消請求)
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。
ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。
債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。
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民法424条の6第1項―現行条文本文
債権者は、受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。
受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。
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p2 /
乙土地及び丙土地の各売買について全部を取り消して、Yに対しこれらの土地の現物返還を命ずる。
乙土地は共同抵当の目的物であり、価格賠償の限度が問題となる。丙土地は単独の目的物で全部取消し得るが、乙土地まで全部取消しとするのは結論が異なる。
根拠条文:民法424条・e-Govで法令を開く民法424条の6第1項・e-Govで法令を開く
民法424条―現行条文本文
第四百二十四条 (詐害行為取消請求)
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。
ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。
債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。
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民法424条の6第1項―現行条文本文
債権者は、受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。
受益者がその財産の返還をすることが困難であるときは、債権者は、その価額の償還を請求することができる。
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p3 /
甲土地、乙土地及び丙土地の各売買について全部を取り消して、Yに対しこれらの土地の現物返還を命ずる。
共同抵当の目的物については、抵当権消滅後でも目的不動産の価額と負担すべき被担保債権額を基準に一部取消し・価格賠償となる。全部取消しは本件の説明に反する。
根拠条文:民法392条・e-Govで法令を開く民法424条・e-Govで法令を開く民法424条の6第1項・e-Govで法令を開く
民法392条―現行条文本文
第三百九十二条 (共同抵当における代価の配当)
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。
この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
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民法424条―現行条文本文
第四百二十四条 (詐害行為取消請求)
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。
ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。
債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
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債権者は、受益者に対する詐害行為取消請求において、債務者がした行為の取消しとともに、その行為によって受益者に移転した財産の返還を請求することができる。
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p4 /
甲土地の売買については1000万円の限度で取り消し、乙土地及び丙土地の各売買については全部を取り消して、Yに対し1000万円の価格賠償並びに乙土地及び丙土地の現物返還を命ずる。
甲・乙の按分計算に基づく限度額は甲1600万円、乙400万円であり、甲1000万円とはならない。丙土地は全部取消しとなるが、乙土地も全部取消しとはならない。
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第三百九十二条 (共同抵当における代価の配当)
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。
この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
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第四百二十四条 (詐害行為取消請求)
債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。
ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。
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p5 /
甲土地の売買については1600万円の限度で取り消し、乙土地の売買については400万円の限度で取り消し、丙土地の売買については全部を取り消して、Yに対し2000万円の価格賠償及び丙土地の現物返還を命ずる。
正解は5。共同抵当の目的物については、各不動産の価額に応じて被担保債権を按分し、詐害行為目的物について得られた額を控除して取消・価格賠償の限度を定める。甲1600万円、乙400万円、丙は全部取消しとなる。
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第三百九十二条 (共同抵当における代価の配当)
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、同時にその代価を配当すべきときは、その各不動産の価額に応じて、その債権の負担を按分する。
債権者が同一の債権の担保として数個の不動産につき抵当権を有する場合において、ある不動産の代価のみを配当すべきときは、抵当権者は、その代価から債権の全部の弁済を受けることができる。
この場合において、次順位の抵当権者は、その弁済を受ける抵当権者が前項の規定に従い他の不動産の代価から弁済を受けるべき金額を限度として、その抵当権者に代位して抵当権を行使することができる。
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全体要旨
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