民法 第327問
教材: 民法③
司法試験 H24 第9問
論点: 物権と債権の対比
問題
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1 債権は時効により消滅することがあるが、物権は時効により消滅することはない。
2 建物の引渡しを受けた建物賃借人は、その建物の使用を妨害された場合、占有権に基づいて妨害排除を求めることはできるが、賃借権に基づいて妨害排除を求めることはできない。
3 物権は一筆の土地の一部についても成立することがあるが、債権も一筆の土地の一部を目的として成立することがある。
4 債権は別の債権を目的とすることができるが、物権は債権を目的とすることはできない。
5 物権は時効により取得することができるが、債権は時効により取得することはできない。
公式解答
3
正誤・解説
1 /
債権は時効により消滅することがあるが、物権は時効により消滅することはない。
民法166条1項・2項、291条、396条などから、物権も時効により消滅することがある。設問は「物権は時効により消滅しない」とする点が誤り。
根拠条文:民法166条第1項・e-Govで法令を開く民法166条第2項・e-Govで法令を開く民法291条・e-Govで法令を開く民法396条・e-Govで法令を開く
民法166条第1項―現行条文本文
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
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民法166条第2項―現行条文本文
債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。
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民法291条―現行条文本文
第二百九十一条 (地役権の消滅時効)
第百六十六条第二項に規定する消滅時効の期間は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を妨げる事実が生じた時から起算する。
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民法396条―現行条文本文
第三百九十六条 (抵当権の消滅時効)
抵当権は、債務者及び抵当権設定者に対しては、その担保する債権と同時でなければ、時効によって消滅しない。
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2 /
建物の引渡しを受けた建物賃借人は、その建物の使用を妨害された場合、占有権に基づいて妨害排除を求めることはできるが、賃借権に基づいて妨害排除を求めることはできない。
建物賃借人は、占有権に基づく請求だけでなく、民法605条の4第1号により賃借権に基づく妨害排除も請求できる。
根拠条文:民法198条・e-Govで法令を開く民法605条の4第1号・e-Govで法令を開く
民法198条―現行条文本文
第百九十八条 (占有保持の訴え)
占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
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民法605条の4第1号―現行条文本文
第六百五条の四 (不動産の賃借人による妨害の停止の請求等)
不動産の賃借人は、第六百五条の二第一項に規定する対抗要件を備えた場合において、次の各号に掲げるときは、それぞれ当該各号に定める請求をすることができる。
一 その不動産の占有を第三者が妨害しているとき
その第三者に対する妨害の停止の請求
二 その不動産を第三者が占有しているとき
その第三者に対する返還の請求
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3 /
物権は一筆の土地の一部についても成立することがあるが、債権も一筆の土地の一部を目的として成立することがある。
判例は、一筆の土地の一部を売買の目的とすることができ、また土地の分割・地役権の一部設定もあり得るとしている。債権・物権ともに土地の一部を目的とし得る。
根拠条文:民法282条第2項・e-Govで法令を開く
民法282条第2項―現行条文本文
土地の分割又はその一部の譲渡の場合には、地役権は、その各部のために又はその各部について存する。
ただし、地役権がその性質により土地の一部のみに関するときは、この限りでない。
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4 /
債権は別の債権を目的とすることができるが、物権は債権を目的とすることはできない。
消費貸借や質権設定、さらに質権の目的として債権を想定する規定などから、物権も債権を目的とすることがある。設問はこれを否定するため誤り。
根拠条文:民法588条・e-Govで法令を開く民法362条第1項・e-Govで法令を開く民法364条・e-Govで法令を開く民法467条・e-Govで法令を開く
民法588条―現行条文本文
第五百八十八条 (準消費貸借)
金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。
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民法362条第1項―現行条文本文
質権は、財産権をその目的とすることができる。
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民法364条―現行条文本文
第三百六十四条 (債権を目的とする質権の対抗要件)
債権を目的とする質権の設定(現に発生していない債権を目的とするものを含む。)は、第四百六十七条の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。
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民法467条―現行条文本文
第四百六十七条 (債権の譲渡の対抗要件)
債権の譲渡(現に発生していない債権の譲渡を含む。)は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。
前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。
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5 /
物権は時効により取得することができるが、債権は時効により取得することはできない。
物権は取得時効により取得できる一方、債権も時効により取得し得る場合がある。したがって「債権は時効により取得できない」と断ずるのは誤り。
根拠条文:民法162条第1項・e-Govで法令を開く民法162条第2項・e-Govで法令を開く民法163条・e-Govで法令を開く民法283条・e-Govで法令を開く
民法162条第1項―現行条文本文
二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
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民法162条第2項―現行条文本文
十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
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民法163条―現行条文本文
第百六十三条 (所有権以外の財産権の取得時効)
所有権以外の財産権を、自己のためにする意思をもって、平穏に、かつ、公然と行使する者は、前条の区別に従い二十年又は十年を経過した後、その権利を取得する。
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民法283条―現行条文本文
第二百八十三条 (地役権の時効取得)
地役権は、継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるものに限り、時効によって取得することができる。
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