民法 第294問
教材: 民法②
司法試験 R03 第11問 / 予備試験 R03 第5問
論点: 抵当権と物上代位
問題
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AがBに賃貸しているA所有の甲建物にCのための抵当権が設定され、その登記がされている。この場合における抵当権に基づくCの物上代位権の行使に関する次のアからオまでの各記述のうち、判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
公式解答
2. ア ウ
正誤・解説
p1 /
Cのための抵当権の設定登記がされた後にBがAに対して金銭を貸し付け、その貸金債権の弁済期が到来した場合、AのBに対する賃料債権についてCが物上代位権を行使して差押えをした後であっても、Bは、Aに対する貸金債権を自働債権とし、Aの賃料債権を受働債権とする相殺をもって、Cに対抗することができる。
判例は、抵当権設定登記後に取得した賃貸人の賃料債権に対して、抵当権者が物上代位として差押えをした後は、その賃料債権への相殺で抵当権者に対抗できないとする。
p2 /
AのBに対する賃料債権についてCが物上代位権を行使して差押えをした場合において、BがCに賃料を支払わないままAB間の賃貸借契約が終了し、Bが甲建物をAに明け渡したときは、BがAにあらかじめ敷金を預託していたときでも、Cが差し押さえた賃料債権は、敷金の充当によりその限度で消滅する。
判例は、賃貸借終了・明渡し時に敷金が未払賃料等へ充当されると、その範囲で賃料債権は当然に消滅するとする。物上代位差押え後でも結論は同じ。
根拠条文:民法511条・e-Govで法令を開く民法622条の2第1項・e-Govで法令を開く民法622条の2第1項第1号・e-Govで法令を開く
民法511条―現行条文本文
第五百十一条 (差押えを受けた債権を受働債権とする相殺の禁止)
差押えを受けた債権の第三債務者は、差押え後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することはできないが、差押え前に取得した債権による相殺をもって対抗することができる。
前項の規定にかかわらず、差押え後に取得した債権が差押え前の原因に基づいて生じたものであるときは、その第三債務者は、その債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができる。
ただし、第三債務者が差押え後に他人の債権を取得したときは、この限りでない。
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民法622条の2第1項―現行条文本文
賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
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民法622条の2第1項第1号―現行条文本文
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
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p3 /
Bが甲建物をDに転貸した場合、Cは、BをAと同視することが相当であるときに限らず、BのDに対する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができる。
転貸賃料債権への物上代位は原則として認められず、BをAと同視できるなど特段の事情がある場合に限って肯定される。
根拠条文:民法372条・e-Govで法令を開く民法304条第1項・e-Govで法令を開く
民法372条―現行条文本文
第三百七十二条 (留置権等の規定の準用)
第二百九十六条、第三百四条及び第三百五十一条の規定は、抵当権について準用する。
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民法304条第1項―現行条文本文
先取特権は、その目的物の売却、賃貸、滅失又は損傷によって債務者が受けるべき金銭その他の物に対しても、行使することができる。
ただし、先取特権者は、その払渡し又は引渡しの前に差押えをしなければならない。
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p4 /
AのBに対する賃料債権をAの一般債権者Eが差し押さえて転付命令を取得し、その転付命令がBに送達された後は、Cは、同一の債権を差し押さえて物上代位権を行使してEに対抗することができない。
一般債権者による差押え・転付命令の第三債務者送達が先なら、抵当権者の物上代位による差押えは対抗できない。
根拠条文:民事執行法159条第3項・e-Govで法令を開く民法160条・e-Govで法令を開く民法193条第1項・e-Govで法令を開く民法194条・e-Govで法令を開く
民事執行法159条第3項―現行条文本文
転付命令が第三債務者に送達される時までに、転付命令に係る金銭債権について、他の債権者が差押え、仮差押えの執行又は配当要求をしたときは、転付命令は、その効力を生じない。
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民法160条―現行条文本文
第百六十条 (相続財産に関する時効の完成猶予)
相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
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民法193条第1項―現行条文本文
前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から二年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。
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民法194条―現行条文本文
第百九十四条
占有者が、盗品又は遺失物を、競売若しくは公の市場において、又はその物と同種の物を販売する商人から、善意で買い受けたときは、被害者又は遺失者は、占有者が支払った代価を弁償しなければ、その物を回復することができない。
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p5 /
AのBに対する賃料債権をAの一般債権者Eが差し押さえ、その差押命令がBに送達された後に、AがCのために甲建物に抵当権を設定し、その登記がされた場合、Cは、同一の債権を差し押さえて物上代位権を行使してEに対抗することができない。
一般債権者の差押命令が先に第三債務者へ送達されていれば、その後の抵当権設定・登記では抵当権者は優先できない。
全体要旨
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