民法 第276問
教材: 民法②
司法試験 R03 第12問
論点: 動産質権
問題
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ア.同一の動産について、複数の動産質権を設定することはできない。
イ.動産質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物を占有させることができない。
ウ.動産質権者は、占有している質物について必要費を支出しても、所有者にその償還を請求することはできない。
エ.動産質権者は、被担保債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。
オ.動産質権者は、被担保債権について利息を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その質権を行使することができる。
公式解答
4. イ エ
正誤・解説
ア /
同一の動産について、複数の動産質権を設定することはできない。
質権は占有移転でも成立し、同一動産に複数の質権を設定し得る。条文上も、同一の動産に数個の質権が設定された場合の順位を前後で定める規定がある。
根拠条文:民法344条・e-Govで法令を開く民法355条・e-Govで法令を開く
民法344条―現行条文本文
第三百四十四条 (質権の設定)
質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。
民法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:46)
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民法355条―現行条文本文
第三百五十五条 (動産質権の順位)
同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。
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イ /
動産質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物を占有させることができない。
民法345条は、質権者が質権設定者に自己に代わって質物を占有させることを禁止している。
根拠条文:民法345条・e-Govで法令を開く
民法345条―現行条文本文
第三百四十五条 (質権設定者による代理占有の禁止)
質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。
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ウ /
動産質権者は、占有している質物について必要費を支出しても、所有者にその償還を請求することはできない。
民法350条により、動産質権には留置権の費用償還に関する規定等が準用され、必要費を支出したときは所有者に償還を請求できる。
根拠条文:民法350条・e-Govで法令を開く
民法350条―現行条文本文
第三百五十条 (留置権及び先取特権の規定の準用)
第二百九十六条から第三百条まで及び第三百四条の規定は、質権について準用する。
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エ /
動産質権者は、被担保債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。
民法354条前段は、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従って質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求できるとする。
根拠条文:民法354条・e-Govで法令を開く
民法354条―現行条文本文
第三百五十四条 (動産質権の実行)
動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。
この場合において、動産質権者は、あらかじめ、その請求をする旨を債務者に通知しなければならない。
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オ /
動産質権者は、被担保債権について利息を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その質権を行使することができる。
民法346条本文は、質権が担保する範囲を元本・利息等とし、最後の2年分に限定するのは別の担保物権の規定である。したがって本肢は誤り。
根拠条文:民法346条・e-Govで法令を開く民法375条第1項・e-Govで法令を開く
民法346条―現行条文本文
第三百四十六条 (質権の被担保債権の範囲)
質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。
ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
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民法375条第1項―現行条文本文
抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。
ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
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全体要旨
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