民事訴訟法 第348問
教材: 民事訴訟法②
司法試験 H24 第67問
論点: 要件事実
問題
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Xは、甲土地をA時点とその20年後のB時点のいずれにおいても占有していたから、両時点の間、甲土地の占有を継続し、甲土地を時効取得したと主張して、甲土地の登記名義人であるYに対し、所有権に基づき所有権移転登記手続を求める訴えを提起した。これに対し、Yが甲土地の占有に関して次のア又はイの主張をし、X及びYから他の主張はされなかったものとする。これらの主張がされた場合について、Yが請求棄却の判決を得るために裁判官に抱かせることが必要な心証の説明として、後記1から4までの各記述のうち、判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
公式解答
3
正誤・解説
p1 /
ア。Yは、アの主張をする場合にはB時点でYが占有していた事実について、イの主張をする場合にはC時点でYが占有していた事実について、いずれも裁判官に確信を抱かせる必要がある。
判例の趣旨では、取得時効の成立を主張する側は、ある時点の占有と20年経過後の占有、さらに「援用」の意思表示を主張立証すれば足りる。B時点・C時点の占有について常に確信まで必要とはいえない。
p2 /
Yは、アの主張をする場合にはB時点でYが占有していた事実について裁判官に確信を抱かせる必要があるが、イの主張をする場合にはAB両時点の間Xが継続して占有していた事実について裁判官に真偽不明の心証を抱かせれば足りる。
アの場合、Xの主張はB時点のY占有を否認する趣旨なので、Yにその事実の主張立証責任がある。イの場合はC時点のY占有が争点となり、Xの継続占有だけで足りるとはいえない。
p3 /
Yは、アの主張をする場合にはB時点でXが占有していた事実について裁判官に真偽不明の心証を抱かせれば足りるが、イの主張をする場合にはC時点でYが占有していた事実について裁判官に確信を抱かせる必要がある。
正解肢。アの場合はB時点のY占有を争う形でXが主張立証責任を負い、Yは反証で足りる。他方、イの場合は184条2項の推定を覆す事実としてC時点のY占有についてYが主張立証責任を負う。
根拠条文:民法162条・e-Govで法令を開く民法186条第2項・e-Govで法令を開く民法186条第1項・e-Govで法令を開く民法145条・e-Govで法令を開く【民法百選I41】・e-Govを開く
民法162条―現行条文本文
第百六十二条 (所有権の取得時効)
二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
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民法186条第2項―現行条文本文
前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。
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民法186条第1項―現行条文本文
占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。
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民法145条―現行条文本文
第百四十五条 (時効の援用)
時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
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p4 /
Yは、アの主張をする場合にはB時点でXが占有していた事実について、イの主張をする場合にはAB両時点の間Xが継続して占有していた事実について、いずれも裁判官に真偽不明の心証を抱かせれば足りる。
いずれも「真偽不明で足りる」とはならない。アではB時点のY占有が問題となり、イではC時点のY占有が推定を覆すため、Y側にその点の主張立証が必要となる。
全体要旨
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