民事訴訟法 第346問
教材: 民事訴訟法②
司法試験 H21 第74問(改)
論点: 要件事実
問題
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【事例】
Aは、かつて世話になったことのある知人Bに対し、平成11年1月5日、自らが所有する甲絵画を、代金200万円で売却し、同日、これをBに引き渡したが、いまだに代金が支払われていないとして、平成21年3月1日、Bに対し、代金200万円の支払を求める訴えを地方裁判所に提起した(以下、Aが主張する売買契約を「本件売買契約」という。)。
これに対して、Bは、Aが主張するとおりの売買契約を締結して甲絵画を受け取ったのは事実であり、その際、代金の支払期限は定められなかったものの、平成11年1月10日に代金を既にAに支払済みであり、仮にその弁済の事実が認められないとしても、Aが訴求する売買代金請求権は、既に時効消滅したと主張し、前記訴訟の第1回口頭弁論期日(平成21年4月3日)において時効を援用した。
Aは、Bの弁済の事実を否認するとともに、Bの消滅時効の主張については、第2回口頭弁論期日において、Bに対し、かねてから再三にわたり代金の支払を求めていたところ、平成20年1月5日、Bは、Aから代金の支払を催促された際、Aに対し、1か月間支払を待ってほしいと要請したと主張だが、Bはその主張事実を否認した。
公式解答
2
正誤・解説
1 /
AのBに対する請求は、訴訟物としては、平成11年1月5日にAとBとの間で締結された甲絵画を代金200万円で売る旨の売買契約に基づくAのBに対する代金200万円の支払請求権と特定することができる。
説明文で、訴訟物は「平成11年1月5日に締結された本件売買契約に基づく代金200万円支払請求権」とされている。
根拠条文:民法555条・e-Govで法令を開く
民法555条―現行条文本文
第五百五十五条 (売買)
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
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2 /
Aが訴訟で請求原因として主張しなければならない要件事実は、「Aは、Bに対し、平成11年1月5日、甲絵画を、代金200万円で売り、これを即日、Bに引き渡した。」である。
説明文では、請求原因事実は「平成11年1月5日、甲絵画を代金200万円で売った」ことで足り、目的物の引渡しは請求原因事実に含めないとされている。
根拠条文:民法555条・e-Govで法令を開く
民法555条―現行条文本文
第五百五十五条 (売買)
売買は、当事者の一方がある財産権を相手方に移転することを約し、相手方がこれに対してその代金を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
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3 /
Bの弁済の主張は抗弁であるが、その要件事実は、「Bは、Aに対し、平成11年1月10日、本件売買契約に基づく代金支払債務の履行として200万円を支払った。」である。
説明文で、弁済の抗弁事実は「本件売買契約に基づく代金支払債務の履行として200万円を支払った」とされている。
根拠条文:民法473条・e-Govで法令を開く
民法473条―現行条文本文
第四百七十三条 (弁済)
債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅する。
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4 /
Bの消滅時効の主張は抗弁であるが、その要件事実は、「平成21年1月5日は経過した。Bは、Aに対し、平成21年4月3日の第1回口頭弁論期日において、時効を援用するとの意思表示をした。」である。
説明文で、時効消滅の要件は完成した時効期間の経過と、口頭弁論期日における援用の意思表示であると説明されている。
根拠条文:民法166条第1項・e-Govで法令を開く民法145条・e-Govで法令を開く民法140条・e-Govで法令を開く民法141条・e-Govで法令を開く
民法166条第1項―現行条文本文
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
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民法145条―現行条文本文
第百四十五条 (時効の援用)
時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。
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民法140条―現行条文本文
第百四十条
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。
ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
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民法141条―現行条文本文
第百四十一条 (期間の満了)
前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。
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5 /
Bが、平成20年1月5日、Aから代金の支払を催促された際、支払を1か月間待ってほしいと要請したとのAの主張は、時効の更新事由である債務の承認に該当する事実を主張するものであり、消滅時効の抗弁に対する再抗弁となる。
説明文で、支払猶予の要請は「権利の承認」にあたり、時効の更新事由となるため、消滅時効の抗弁に対する再抗弁になるとされている。
根拠条文:民法152条第1項・e-Govで法令を開く
民法152条第1項―現行条文本文
時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。
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全体要旨
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