民事訴訟法 第103問
教材: 民事訴訟法①
予備試験 R05 第39問
論点: 弁論主義・職権探知主義
問題
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【事例】
Xは、Yに対し、300万円を貸し付けたと主張して、消費貸借契約に基づく貸金返還請求として300万円の支払を求める訴えを甲裁判所に提起した(以下、この消費貸借契約を「本件消費貸借契約」といい、この訴えを「本件訴え」という。)。
公式解答
1 / 5
正誤・解説
1 /
口頭弁論期日において、Yが貸付けの事実を認める陳述をしたが、甲裁判所は、証拠調べの結果、貸付けの事実が認められないと判断した場合には、貸付けの事実が存在しないことを理由として、Xの請求を棄却することができる。
貸付けは請求原因事実であり、弁論主義の下では当事者の自白があれば裁判所はこれに拘束される。証拠で否定できるという記述は、判例の趣旨に反する。
根拠条文:民法587条・e-Govで法令を開く
民法587条―現行条文本文
第五百八十七条 (消費貸借)
消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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2 /
口頭弁論期日において、Yが貸付けの事実を認める陳述をした上で、既に全額弁済したと主張し、弁済に際してXから交付されたものであるとする領収証を証拠として提出した。Xがその領収証の成立の真正を認める旨の陳述をした場合であっても、甲裁判所は、その領収証がXによって作成されたものではないと判断したときは、その領収証が真正に成立したものではないと認めることができる。
文書の成立の真正については、当事者の陳述に裁判所が当然に拘束されるわけではない。認める旨の陳述があっても、裁判所が形成過程を見て真正成立でないと判断することはあり得る。
根拠条文:民事訴訟法142条・e-Govで法令を開く民事訴訟法114条第1項・e-Govで法令を開く
民事訴訟法142条―現行条文本文
第百四十二条 (重複する訴えの提起の禁止)
裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。
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民事訴訟法114条第1項―現行条文本文
確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
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3 /
Xは、Yが貸付けの事実を認めた上で、消滅時効の抗弁を主張したため、時効の更新の再抗弁として、Yから300万円のうち100万円の弁済を受けた事実を主張したところ、Yはその弁済の事実を認否した。Xが当初の300万円の貸金返還請求を維持している場合において、甲裁判所は、証拠調べの結果、100万円の弁済の事実が認められると判断したときは、Xの請求について、200万円の支払を求める限度で認容し、その余を棄却することができる。
弁済は抗弁事実であり、さらにその更新を基礎づける再抗弁として主張される事実でもある。主張責任を負わない側の主張であっても、裁判所は証拠により認定して判断の基礎にできる。
根拠条文:民法473条・e-Govで法令を開く
民法473条―現行条文本文
第四百七十三条 (弁済)
債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は、消滅する。
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4 /
Xが、乙裁判所にも、Yを被告とする本件消費貸借契約に基づく300万円の貸金の返還を求める訴えを提起し、その訴訟が係属中であるにもかかわらず、更に本件訴えを提起したことが判明した場合には、甲裁判所は、X及びYが乙裁判所に本件消費貸借契約に基づく貸金返還訴訟が先に係属していた事実を主張していないときであっても、本件訴えを却下することができる。
先に係属する訴訟の存在は訴訟要件に関わる事項で、職権探知が及ぶ。したがって、当事者が主張していなくても、重複訴訟として却下し得る。
根拠条文:民事訴訟法142条・e-Govで法令を開く
民事訴訟法142条―現行条文本文
第百四十二条 (重複する訴えの提起の禁止)
裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。
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5 /
Xが、本件訴えの提起に先立ち、乙裁判所にも、Yを被告とする本件消費貸借契約に基づく300万円の貸金の返還を求める訴えを提起したが、貸付けの事実が認められないとして、請求を全部棄却する判決を受け、これが確定していることが判明した場合でも、甲裁判所は、X及びYが乙裁判所の確定判決の存在を主張していないときは、乙裁判所の確定判決の既判力の存在を判決の基礎とすることはできない。
既判力の有無は職権で考慮されるべき事項であり、当事者の主張がなくても問題となる。先行確定判決があれば、後訴でその既判力を判断の基礎にできる。
根拠条文:民事訴訟法114条第1項・e-Govで法令を開く
民事訴訟法114条第1項―現行条文本文
確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
民事訴訟法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:15:11)
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全体要旨
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