憲法 第82問
教材: 憲法①
司法試験 H19 第3問
論点: 私人間における人権保障
問題
問題画像

抽出問題文を表示
ア 憲法は、国家対国民の関係を規律する法であるから、憲法の人権規定は、特段の定めのある場合を除いて私人間においては適用されないとする説は、国家と社会を分離する自由主義的国家論と、人権はすべての法秩序に妥当すべき価値であるとの考え方を理論的背景としている。
イ 憲法の人権規定は、私人間においても直接適用されるとする説に対しては、私法の国家化をもたらし、私的自治の原則及び契約自由の原則の否定にならないか、国家権力に対抗するという人権の本質を変質ないし希薄化する結果を招くおそれがあるのではないかと指摘されている。
ウ 市民社会の自律的作用を尊重すべきであることから、民法第90条の公序良俗規定等の私法の一般条項を媒介として、憲法の人権規定を私人間において間接的に適用するとする説に対しては、資本主義の高度化に伴い、国家類似の組織を有し、国家類似の機能を行使する社会的権力の登場による人権侵害の危険性と可能性が増大していることを看過していると指摘されている。
エ 私人相互間の社会的力関係から、一方が他方に優越し、事実上後者の意思に服従せざるを得ない場合、憲法の人権規定を、私人間においても適用ないし類推適用するとする説に対しては、こうした関係は法的裏付けないしは基礎を欠く単なる社会的事実としての力の優越関係にすぎず、国又は公共団体の支配が権力の法的独占に基づいて行われる場合とは性質上の相違があると指摘されている。
公式解答
2. アとウ
正誤・解説
ア /
憲法は、国家対国民の関係を規律する法であるから、憲法の人権規定は、特段の定めのある場合を除いて私人間においては適用されないとする説は、国家と社会を分離する自由主義的国家論と、人権はすべての法秩序に妥当すべき価値であるとの考え方を理論的背景としている。
説明文では、国家と社会を分離する自由主義的国家論を背景とする点は認めるが、「人権はすべての法秩序に妥当すべき価値」とするのは、むしろ人権規定の私人間効力を肯定する側の発想として否定されている。
イ /
憲法の人権規定は、私人間においても直接適用されるとする説に対しては、私法の国家化をもたらし、私的自治の原則及び契約自由の原則の否定にならないか、国家権力に対抗するという人権の本質を変質ないし希薄化する結果を招くおそれがあるのではないかと指摘されている。
説明文で「本肢記載のとおりである」とされている。直接適用説への批判として、私法の国家化や私的自治・契約自由の否定のおそれが挙げられる。
ウ /
市民社会の自律的作用を尊重すべきであることから、民法第90条の公序良俗規定等の私法の一般条項を媒介として、憲法の人権規定を私人間において間接的に適用するとする説に対しては、資本主義の高度化に伴い、国家類似の組織を有し、国家類似の機能を行使する社会的権力の登場による人権侵害の危険性と可能性が増大していることを看過していると指摘されている。
説明文では、本肢の批判は直接適用説に向けられたものとして整理されている。間接適用説への批判としては内容が合わない。
根拠条文:民法90条・e-Govで法令を開く
民法90条―現行条文本文
第九十条 (公序良俗)
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
民法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:46)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
エ /
私人相互間の社会的力関係から、一方が他方に優越し、事実上後者の意思に服従せざるを得ない場合、憲法の人権規定を、私人間においても適用ないし類推適用するとする説に対しては、こうした関係は法的裏付けないしは基礎を欠く単なる社会的事実としての力の優越関係にすぎず、国又は公共団体の支配が権力の法的独占に基づいて行われる場合とは性質上の相違があると指摘されている。
説明文では、このような批判は国家に類似した社会的権力による支配を問題にする文脈で述べられており、本肢のように「単なる社会的事実」として片付ける説明は当てはまらない。
全体要旨
解説画像


自己評価
問題時間・解説時間は、 別ページへ移動した時点で確定します。
学習メモ
入力中の内容はこの端末へ自動的に下書き保存されます。 「メモを保存」を押すと改訂履歴へ追加し、 ログイン中はSupabaseへ同期します。
メモの保存履歴
過去版を編集欄へ復元しただけでは下書きです。 「メモを保存」を押すと新しい版として保存されます。