憲法 第56問
教材: 憲法①
プレ-20
論点: 法人の人権
問題
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ある地方で発生した大地震について、強制加入団体であるX税理士会が、被災した地域の税理士会の業務遂行支援のために寄付を行うこととし、このたび復興支援特別負担金を会員から徴収することを決議した。これに対して、X税理士会の会員であるYは、そのような強制的な寄付は、会員の憲法上の権利を侵害し、また、税理士会の権能能力の範囲外の行為であると主張し、決議の無効と特別負担金の支払義務の不存在の確認を求めて訴訟を提起した。
公式解答
2. イのみ
正誤・解説
ア /
Yは、負担金徴収決議が自己の思想及び良心の自由を侵害するとの理由でX税理士会の決議の無効を主張することはできないが、それは憲法の第3章に定める権利の条項は、専ら公的機関と個人との関係を規律するものであるからである。
判例は、強制加入団体の会員に対しても憲法3章の権利条項が性質上可能な限り適用されるとしている。したがって、「専ら公的機関と個人との関係を規律するものだから適用されない」という理由づけは誤り。
イ /
X税理士会の行う寄付は、その目的を遂行する上で直接又は間接に必要な範囲内での援助などにとどまるべきであるが、他の税理士会との間で業務の他に提携、協力、援助等をすることもその活動範囲に含まれる。
判例は、税理士会の目的遂行上、必要な範囲の援助や他の税理士会との提携・協力・援助等も活動範囲に含まれるとする。したがって、本記述は判例に沿う。
根拠条文:同法14条2項・e-Govを開く
ウ /
憲法第3章に保障された権利が、自然人たる国民にのみ認められた権利であることを考えれば、法人であるX税理士会の人権は、特段の事情がない限り、自然人であるYの思想良心の自由に従属する。
判例は、法人にも性質上可能な限り権利条項が適用されるとし、法人の権利が当然に自然人の思想良心の自由に従属するとまではいっていない。したがって本記述は誤り。
根拠条文:同条3項・e-Govを開く
エ /
X税理士会が強制加入の団体であり、その会員であるYには実質的には脱退の自由が保障されていないことからすると、寄付のために会員に強制的に協力義務を課すことは、寄付の目的にかかわらず、X税理士会の目的の範囲外の行為である。
判例は、強制加入団体であっても、その目的遂行に必要な範囲の活動は許され得るとし、寄付の目的にかかわらず目的範囲外とするものではない。したがって本記述は誤り。
根拠条文:同法49条1項第1号・e-Govを開く
オ /
憲法第3章に定める権利の条項は、性質上可能な限り、法人にも適用されるものと解すべきであるから、いかなる相手にいかなる寄付を行うべきかは、自然人による寄付と別異に扱うべき憲法上の要請はなく、X税理士会において制限を受けることなく自由に決定することができる。
判例は、法人にも権利条項が適用されるとしつつも、法人には自然人と異なる制約があり、強制加入団体の政治的性格等から寄付内容を自由に決められるとはいえないとしている。
全体要旨
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