商法 第322問
教材: 商法②
司法試験 H21 第55問
論点: 手形理論
問題
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約束手形の振出人が負う手形金支払債務の発生時期について、次のAからDまでの見解がある。
A見解 振出人が手形要件を満たした証券を作成し、それを受取人に交付することによって、振出人と受取人の間に手形債務負担に関する契約が成立し、手形金支払債務が発生する。
B見解 振出人が手形要件を満たした証券を作成し、それを受取人に交付するという単独行為によって、手形金支払債務が発生する。
C見解 振出人が手形要件を満たした証券を作成し、他人に交付するために手放すという単独行為によって、手形金支払債務が発生する。
D見解 振出人が手形要件を満たした証券を作成することによって、手形金支払債務が発生する。
公式解答
2 / 4
正誤・解説
1 /
甲が手形要件を満たした証券を作成して乙に寄託していたところ、乙が勝手にその裏書人欄に署名して事情を知らない丙に交付した場合、C見解又はD見解のいずれによったとしても、丙は、手形法第17条に規定する人的抗弁の切断によって保護が図られることになる。
説明では、C見解では甲→乙の交付によって乙が権利取得し、乙が丙へ裏書譲渡した場合は人的抗弁の切断で丙が保護される。他方D見解では甲が乙へ寄託しただけでは乙は権利取得しないため、乙→丙の譲渡自体が無効となり、人的抗弁切断の問題にならない。
根拠条文:商法17条・e-Govで法令を開く
商法17条―現行条文本文
第十七条 (譲渡人の商号を使用した譲受人の責任等)
営業を譲り受けた商人(以下この章において「譲受人」という。)が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、その譲受人も、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
前項の規定は、営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人が譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。
営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人及び譲渡人から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
譲受人が第一項の規定により譲渡人の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡人の責任は、営業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
第一項に規定する場合において、譲渡人の営業によって生じた債権について、その譲受人にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。
商法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:48)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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2 /
甲が乙から脅され、その意思に基づかずに、手形要件を満たした証券を作成し、これを手渡した場合、A見解からD見解までのいずれによったとしても、甲が手形金支払債務を負うことはない。
説明では、A~Dのいずれでも、振出人がその意思に基づかずに手形要件を満たした証券を作成して交付した場合には、手形金支払債務の発生は認められないとされている。
根拠条文:商法17条・e-Govで法令を開く
商法17条―現行条文本文
第十七条 (譲渡人の商号を使用した譲受人の責任等)
営業を譲り受けた商人(以下この章において「譲受人」という。)が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、その譲受人も、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
前項の規定は、営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人が譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。
営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人及び譲渡人から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
譲受人が第一項の規定により譲渡人の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡人の責任は、営業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
第一項に規定する場合において、譲渡人の営業によって生じた債権について、その譲受人にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。
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ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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3 /
甲が乙に対して約束手形を振り出した際に乙が未成年者であった場合、A見解とC見解のいずれによったとしても、甲が乙に対して手形金支払債務を負うかどうかの結論は、異ならない。
説明では、A見解は契約構成なので未成年者なら法定代理人の同意の要否や取消しの問題が出るが、C見解は単独行為構成なので相手方の未成年者性は結論に影響しない。したがって結論は異なる。
根拠条文:民法5条第1項・e-Govで法令を開く民法5条第2項・e-Govで法令を開く
民法5条第1項―現行条文本文
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。
ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
民法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:46)
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民法5条第2項―現行条文本文
前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
民法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:46)
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4 /
甲が乙に対して交付するつもりで手形要件を満たした証券を作成し、保管していたところ、丙に盗取された場合、A見解又はB見解のいずれによったとしても、丙から善意で手形の譲渡を受けた丁が善意取得をすることはない。
説明では、A・B見解はいずれも受取人への交付が必要で、丙に盗取された時点では乙への交付がないため手形金支払債務は発生しない。したがって丙からの譲受人丁も善意取得しない。
根拠条文:商法17条・e-Govで法令を開く
商法17条―現行条文本文
第十七条 (譲渡人の商号を使用した譲受人の責任等)
営業を譲り受けた商人(以下この章において「譲受人」という。)が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、その譲受人も、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
前項の規定は、営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人が譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。
営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人及び譲渡人から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
譲受人が第一項の規定により譲渡人の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡人の責任は、営業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
第一項に規定する場合において、譲渡人の営業によって生じた債権について、その譲受人にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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5 /
甲が乙に対して交付するつもりで手形要件を満たした証券を作成し、乙あてに郵送したが、事故により乙に届かなかった場合、A見解からC見解までのいずれによったとしても、甲は手形金支払債務を負わないが、D見解によったときは、負うことになる。
説明では、C見解では郵送した時点で他人に交付するための手放しがあれば債務発生、D見解では作成時点で発生する。したがって「A~Cいずれでも負わないがDでは負う」は誤り。
根拠条文:商法17条・e-Govで法令を開く
商法17条―現行条文本文
第十七条 (譲渡人の商号を使用した譲受人の責任等)
営業を譲り受けた商人(以下この章において「譲受人」という。)が譲渡人の商号を引き続き使用する場合には、その譲受人も、譲渡人の営業によって生じた債務を弁済する責任を負う。
前項の規定は、営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人が譲渡人の債務を弁済する責任を負わない旨を登記した場合には、適用しない。
営業を譲渡した後、遅滞なく、譲受人及び譲渡人から第三者に対しその旨の通知をした場合において、その通知を受けた第三者についても、同様とする。
譲受人が第一項の規定により譲渡人の債務を弁済する責任を負う場合には、譲渡人の責任は、営業を譲渡した日後二年以内に請求又は請求の予告をしない債権者に対しては、その期間を経過した時に消滅する。
第一項に規定する場合において、譲渡人の営業によって生じた債権について、その譲受人にした弁済は、弁済者が善意でかつ重大な過失がないときは、その効力を有する。
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