商法 第183問
教材: 商法①
司法試験 H25 第50問
論点: 取締役の責任追及の訴え
問題
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ア. 甲社が会社法上の公開会社でない場合には、Aの責任を追及する訴えの提起の請求を受ける際に甲社を代表する者は、代表取締役である。
イ. 甲社が提起するAの責任を追及する訴えは、甲社の本店の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
ウ. 甲社が会社法上の公開会社である場合において、甲社がAの責任を追及する訴えを提起したときは、甲社は、遅滞なく、その旨を公告し、かつ、株主に通知しなければならない。
エ. Bが、甲社のために、Aの責任を追及する訴えを提起した場合において、その訴訟の係属中に、甲社の株式移転によりBが甲社の株主でなくなったときでも、Bがその株式移転により甲社の完全親会社の株主となったときは、Bは、原告適格を失わない。
オ. Bが甲社のために提起したAの責任を追及する訴えに係る請求を認容する確定判決の効力は、甲社に対しても及ぶが、その請求を棄却する確定判決の効力は、甲社には及ばない。
公式解答
3. イ エ
正誤・解説
ア /
甲社が会社法上の公開会社でない場合には、Aの責任を追及する訴えの提起の請求を受ける際に甲社を代表する者は、代表取締役である。
会社法847条1項本文の請求先の代表者は、原則として「監査役」であり、例外的に監査役会設置会社等では別の定めがある。非公開会社だから代表取締役とはいえない。
根拠条文:会社法847条第1項・e-Govで法令を開く会社法386条第2項・e-Govで法令を開く会社法349条第4項・e-Govで法令を開く会社法847条第3項・e-Govで法令を開く
会社法847条第1項―現行条文本文
六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第百八十九条第二項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第四百二十三条第一項に規定する役員等をいう。)若しくは清算人(以下この節において「発起人等」という。)の責任を追及する訴え、第百二条の二第一項、第二百十二条第一項若しくは第二百八十五条第一項の規定による支払を求める訴え、第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え又は第二百十三条の二第一項若しくは第二百八十六条の二第一項の規定による支払若しくは給付を求める訴え(以下この節において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。
ただし、責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。
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会社法386条第2項―現行条文本文
第三百四十九条第四項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、監査役が監査役設置会社を代表する。
一 監査役設置会社が第八百四十七条第一項、第八百四十七条の二第一項若しくは第三項(同条第四項及び第五項において準用する場合を含む。)又は第八百四十七条の三第一項の規定による請求(取締役の責任を追及する訴えの提起の請求に限る。)を受ける場合
二 監査役設置会社が第八百四十九条第四項の訴訟告知(取締役の責任を追及する訴えに係るものに限る。)並びに第八百五十条第二項の規定による通知及び催告(取締役の責任を追及する訴えに係る訴訟における和解に関するものに限る。)を受ける場合
三 株式交換等完全親会社である監査役設置会社が第八百四十七条第一項の規定による請求(前項第二号に規定する訴えの提起の請求に限る。)をする場合又は第八百四十九条第六項の規定による通知(その株式交換等完全子会社の取締役、執行役又は清算人の責任を追及する訴えに係るものに限る。)を受ける場合
四 最終完全親会社等である監査役設置会社が第八百四十七条第一項の規定による請求(前項第三号に規定する特定責任追及の訴えの提起の請求に限る。)をする場合又は第八百四十九条第七項の規定による通知(その完全子会社等である株式会社の取締役、執行役又は清算人の責任を追及する訴えに係るものに限る。)を受ける場合
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会社法349条第4項―現行条文本文
代表取締役は、株式会社の業務に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
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会社法847条第3項―現行条文本文
株式会社が第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。
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イ /
甲社が提起するAの責任を追及する訴えは、甲社の本店の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
会社法848条は、責任追及等の訴えを本店所在地を管轄する地方裁判所の専属管轄とする。
根拠条文:会社法848条・e-Govで法令を開く
会社法848条―現行条文本文
第八百四十八条 (訴えの管轄)
責任追及等の訴えは、株式会社又は株式交換等完全子会社(以下この節において「株式会社等」という。)の本店の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
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ウ /
甲社が会社法上の公開会社である場合において、甲社がAの責任を追及する訴えを提起したときは、甲社は、遅滞なく、その旨を公告し、かつ、株主に通知しなければならない。
会社法849条5項は、訴えを提起した場合や前項の訴訟告知を受けた場合に、遅滞なく公告・株主通知を求めるが、設問は公開会社であることだけを理由に当然に必要とする点で不正確。
根拠条文:会社法849条第5項・e-Govで法令を開く
会社法849条第5項―現行条文本文
株式会社等は、責任追及等の訴えを提起したとき、又は前項の訴訟告知を受けたときは、遅滞なく、その旨を公告し、又は株主に通知しなければならない。
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エ /
Bが、甲社のために、Aの責任を追及する訴えを提起した場合において、その訴訟の係属中に、甲社の株式移転によりBが甲社の株主でなくなったときでも、Bがその株式移転により甲社の完全親会社の株主となったときは、Bは、原告適格を失わない。
会社法851条1項1号は、訴え提起後に株主でなくなっても、完全親会社の株式を取得した場合などは追行を認める。
根拠条文:会社法851条第1項・e-Govで法令を開く会社法851条第1項第1号・e-Govで法令を開く
会社法851条第1項―現行条文本文
責任追及等の訴えを提起した株主又は第八百四十九条第一項の規定により共同訴訟人として当該責任追及等の訴えに係る訴訟に参加した株主が当該訴訟の係属中に株主でなくなった場合であっても、次に掲げるときは、その者が、訴訟を追行することができる。
一 その者が当該株式会社の株式交換又は株式移転により当該株式会社の完全親会社の株式を取得したとき。
二 その者が当該株式会社が合併により消滅する会社となる合併により、合併により設立する株式会社又は合併後存続する株式会社若しくはその完全親会社の株式を取得したとき。
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会社法851条第1項第1号―現行条文本文
一 その者が当該株式会社の株式交換又は株式移転により当該株式会社の完全親会社の株式を取得したとき。
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オ /
Bが甲社のために提起したAの責任を追及する訴えに係る請求を認容する確定判決の効力は、甲社に対しても及ぶが、その請求を棄却する確定判決の効力は、甲社には及ばない。
会社法847条3項により、60日以内に会社が提訴しないときは株主が会社のために訴えを提起でき、民訴115条1項の効力は原則として当事者等に及ぶ。設問のように棄却判決だけ会社に及ばないとはいえない。
根拠条文:会社法847条第1項・e-Govで法令を開く会社法847条第3項・e-Govで法令を開く民事訴訟法115条第1項・e-Govで法令を開く民事訴訟法115条第1項第2号・e-Govで法令を開く会社法838条・e-Govで法令を開く
会社法847条第1項―現行条文本文
六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き株式を有する株主(第百八十九条第二項の定款の定めによりその権利を行使することができない単元未満株主を除く。)は、株式会社に対し、書面その他の法務省令で定める方法により、発起人、設立時取締役、設立時監査役、役員等(第四百二十三条第一項に規定する役員等をいう。)若しくは清算人(以下この節において「発起人等」という。)の責任を追及する訴え、第百二条の二第一項、第二百十二条第一項若しくは第二百八十五条第一項の規定による支払を求める訴え、第百二十条第三項の利益の返還を求める訴え又は第二百十三条の二第一項若しくは第二百八十六条の二第一項の規定による支払若しくは給付を求める訴え(以下この節において「責任追及等の訴え」という。)の提起を請求することができる。
ただし、責任追及等の訴えが当該株主若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該株式会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。
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会社法847条第3項―現行条文本文
株式会社が第一項の規定による請求の日から六十日以内に責任追及等の訴えを提起しないときは、当該請求をした株主は、株式会社のために、責任追及等の訴えを提起することができる。
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民事訴訟法115条第1項―現行条文本文
確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
一 当事者
二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
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民事訴訟法115条第1項第2号―現行条文本文
二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
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会社法838条―現行条文本文
第八百三十八条 (認容判決の効力が及ぶ者の範囲)
会社の組織に関する訴えに係る請求を認容する確定判決は、第三者に対してもその効力を有する。
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