商法 第145問
教材: 商法①
予備試験 H29 第22問
論点: 競業取引の制限
問題
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A株式会社(以下「A社」という。)は、事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っている。A社の取締役であるBの行為に関する次のアからオまでの各記述のうち、正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
公式解答
4. ウ エ
正誤・解説
p1 /
営業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っているBが、A社の取締役会において、当該運送に係る取引につき重要な事実を開示することも、その承認を受けることもしない場合には、A社は、当該運送に係る取引によってBが得た利益を自己の利益とみなすことができる。
取締役の利益相反取引については、重要事実の開示と承認が必要であり、承認なく行われた場合は会社が利益額を損害額と推定する規定がある。自己の利益とみなすのは利益供与等の場面であり、本肢は誤り。
p2 /
営業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っているBが、A社の取締役会において、当該運送に係る取引につき重要な事実を開示することも、その承認を受けることもしない場合において、当該運送に係る取引によってA社に損害が生じたときは、Bは、その任務を怠ったものと推定される。
競業取引については、無承認で取引をした場合に利益額が損害額と推定される規定はあるが、直ちに任務懈怠を推定する規定ではない。したがって本肢は誤り。
p3 /
A社が、その事業計画及び市場調査に基づき、甲県に隣接する乙県内においてトラックによる陸上貨物運送を開始することを取締役会の決議によって決定し、乙県内においてトラックターミナル用の不動産を取得した後、Bが、営業として乙県内においてトラックによる陸上貨物運送を行おうとする場合には、A社が乙県内においてトラックによる陸上貨物運送をいまだ開始していないときであっても、Bは、A社の取締役会において、当該運送に係る取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
会社が将来の進出を取締役会決議で具体化し、実際に営業開始前でも事業の競合関係が認められる場合は競業取引に当たり得る。したがって、Bには重要事実の開示と承認が必要。
根拠条文:商法356条第1項・e-Govで法令を開く商法365条第1項・e-Govで法令を開く
p4 /
Bが事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っているC株式会社の代表取締役となって当該運送に係る取引をしようとする場合には、Bは、A社の取締役会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
取締役が第三者のために会社の事業の部類に属する取引をしようとする場合も競業取引に準じて規制される。代表取締役就任後にその会社のために取引をする場面では、A社での開示・承認が必要。
根拠条文:商法356条第1項・e-Govで法令を開く商法365条第1項・e-Govで法令を開く
p5 /
Bが、トラックによる陸上貨物運送を行うことを事業の目的とするD株式会社(以下「D社」という。)を設立し、その発行する全部の株式を保有する場合において、自らはD社の代表取締役でないときは、甲県内における陸上貨物運送に係る取引について継続的に自ら決定してD社の代表取締役に指示しているときであっても、Bは、A社の取締役会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けることを要しない。
名目的に代表取締役でなくても、実質的に自ら継続的に意思決定し第三者のために競業取引をするなら、競業取引規制の潜脱は許されない。したがって承認不要とはいえず誤り。
根拠条文:商法356条第1項・e-Govで法令を開く商法365条第1項・e-Govで法令を開く
全体要旨
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