刑法 第440問
教材: 刑法③
司法試験 H28 第12問
論点: 電子計算機等に係る各種犯罪の成否
問題
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公式解答
2. ア ウ
正誤・解説
proposition_1 /
Aの知人Bは、料理が趣味であり、自宅のパソコンに料理のレシピのデータを保存していた。Aは、Bと口論をした際、Bが大事にしている同データを壊してやろうと思い、同パソコンを壊したAの行為について、電子計算機損壊等業務妨害罪は成立せず、器物損壊罪が成立する。
説明では、趣味のレシピデータやそれを保存したパソコンは「人の業務に使用する電子計算機等若しくはその用に供する電磁的記録」には当たらず、電子計算機損壊等業務妨害罪は成立しないとする。他方、パソコンは他人の物として器物損壊罪が成立するとされている。
根拠条文:刑法234条の2第1項・e-Govで法令を開く刑法261条・e-Govで法令を開く
刑法234条の2第1項―現行条文本文
人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
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刑法261条―現行条文本文
第二百六十一条 (器物損壊等)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
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proposition_2 /
Aは、Bに成り済まし、銀行の窓口行員Cに対し、B名義の口座の預金をA名義の口座に振込入金するよう依頼した。Cは、AをBと思い込み、コンピュータの端末を操作して、同銀行が業務用に使用している電子計算機にアクセスし、前記依頼のとおり振込入金の処理をした。Bに成り済まし、Cに振込入金の処理を行わせたAの行為について、電子計算機使用詐欺罪が成立する。
説明では、銀行窓口で自己名義への振込処理をさせる行為は、刑法246条1項の詐欺罪にいう「人を欺いて財物を交付させた」に当たるのと同様に解されるため、電子計算機使用詐欺罪ではなく詐欺罪が成立するとしている。
根拠条文:刑法246条の2・e-Govで法令を開く刑法246条第1項・e-Govで法令を開く
刑法246条の2―現行条文本文
第二百四十六条の二 (電子計算機使用詐欺)
前条に規定するもののほか、人の事務処理に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与えて財産権の得喪若しくは変更に係る不実の電磁的記録を作り、又は財産権の得喪若しくは変更に係る虚偽の電磁的記録を人の事務処理の用に供して、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法246条第1項―現行条文本文
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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proposition_3 /
Aは、盗んだ財布の中に、不正に作られた電磁的記録をその構成部分とするクレジットカードが入っていることに気付き、同カードを使用するつもりはなかったが、機会があれば友人に見せようと考え、同カードを自己の財布に入れて持ち歩いていた。同カードを持っていたAの行為について、不正電磁的記録カード所持罪は成立しない。
説明では、同罪は「前条第1項の目的」で所持することを要し、単に機会があれば見せようと考えて持ち歩いているだけではその目的が認められないとして、不正電磁的記録カード所持罪は成立しないとする。
根拠条文:刑法163条の3・e-Govで法令を開く刑法1条・e-Govで法令を開く
刑法163条の3―現行条文本文
第百六十三条の三 (不正電磁的記録カード所持)
前条第一項の目的で、同条第三項のカードを所持した者は、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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刑法1条―現行条文本文
第一条 (国内犯)
この法律は、日本国内において罪を犯したすべての者に適用する。
日本国外にある日本船舶又は日本航空機内において罪を犯した者についても、前項と同様とする。
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proposition_4 /
Aは、同僚Bのパソコンに、コンピュータウイルスを感染させてBの業務を妨害しようと考え、コンピュータウイルスを作成したが、自宅のパソコンでその効果を試したところ、市販のウイルス対策ソフトで検出されてしまうことが分かったため、同ウイルスを使用することは断念した。同ウイルスを作成して試した一連のAの行為について、電子計算機損壊等業務妨害罪の未遂が成立する。
説明では、ウイルスを作成しただけでは、刑法234条の2第1項の「実行に着手」したとはいえず、未遂は成立しないとする。
根拠条文:刑法234条の2第1項・e-Govで法令を開く刑法234条の2第2項・e-Govで法令を開く刑法43条・e-Govで法令を開く
刑法234条の2第1項―現行条文本文
人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
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刑法234条の2第2項―現行条文本文
前項の罪の未遂は、罰する。
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刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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全体要旨
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