刑法 第433問
教材: 刑法③
司法試験 R06 第19問
論点: 収賄罪
問題
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【見解】
A説:単純収賄罪(刑法第197条第1項前段)、受託収賄罪(同項後段)又は加重収賄罪(同法第197条の3第2項)のいずれかが成立し得るとする見解
B説:事後収賄罪(刑法第197条の3第3項)のみが成立し得るとする見解
【記述】
ア.A説の立場からは、単純収賄罪における「その職務」について「現在担当している一般的職務権限内の職務」と狭く解釈することになる。
イ.B説の立場からは、事後収賄罪における「公務員であった者」には、前の公務との関係で一般的職務権限を喪失した後の公務員も含むと解釈することになる。
ウ.A説の立場からは、公務員が退職して民間企業に就職した後に前の公務に関して賄賂を収受した場合、事後収賄罪ではなく、単純収賄罪、受託収賄罪及び加重収賄罪のいずれかが成立し得ることになる。
エ.B説に対しては、賄賂の収受の時期を遅らせて他の公務に転じた後に賄賂を収受すれば、請託や職務違反行為がない限り不可罰となってしまい、不合理であるとの批判がある。
オ.A説に対しては、賄賂が公務員の担当する「その職務」に関するものでなければならないとしている刑法の趣旨をゆがめるものとの批判がある。
公式解答
1. ア ウ
正誤・解説
A /
A説の立場からは、単純収賄罪における「その職務」について「現在担当している一般的職務権限内の職務」と狭く解釈することになる。
A説は、退職後に前の公務に関して賄賂を受けた場合でも収賄罪の成立を認め得る立場であり、「その職務」を現在担当職務に限るとはしない。
根拠条文:刑法197条第1項・e-Govで法令を開く刑法197条の3第2項・e-Govで法令を開く
刑法197条第1項―現行条文本文
公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑に処する。
この場合において、請託を受けたときは、七年以下の拘禁刑に処する。
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刑法197条の3第2項―現行条文本文
公務員が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。
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B /
B説の立場からは、事後収賄罪における「公務員であった者」には、前の公務との関係で一般的職務権限を喪失した後の公務員も含むと解釈することになる。
B説は事後収賄罪のみを認めるため、「公務員であった者」には、一般的職務権限を失った後の公務員も含むと解される。
根拠条文:刑法197条の3第3項・e-Govで法令を開く
刑法197条の3第3項―現行条文本文
公務員であった者が、その在職中に請託を受けて職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑に処する。
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C /
A説の立場からは、公務員が退職して民間企業に就職した後に前の公務に関して賄賂を収受した場合、事後収賄罪ではなく、単純収賄罪、受託収賄罪及び加重収賄罪のいずれかが成立し得ることになる。
A説は、退職後の収賄でも前の職務との関連があれば、事後収賄罪ではなく、単純収賄罪等の成立を認める立場である。
根拠条文:刑法197条第1項・e-Govで法令を開く刑法197条の3第2項・e-Govで法令を開く
刑法197条第1項―現行条文本文
公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたときは、五年以下の拘禁刑に処する。
この場合において、請託を受けたときは、七年以下の拘禁刑に処する。
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刑法197条の3第2項―現行条文本文
公務員が、その職務上不正な行為をしたこと又は相当の行為をしなかったことに関し、賄賂を収受し、若しくはその要求若しくは約束をし、又は第三者にこれを供与させ、若しくはその供与の要求若しくは約束をしたときも、前項と同様とする。
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D /
B説に対しては、賄賂の収受の時期を遅らせて他の公務に転じた後に賄賂を収受すれば、請託や職務違反行為がない限り不可罰となってしまい、不合理であるとの批判がある。
B説は事後収賄罪に限定するため、収受時期をずらすと請託等がない限り処罰しにくくなる、という批判が述べられている。
根拠条文:同法第197条の3第3項・e-Govを開く
E /
A説に対しては、賄賂が公務員の担当する「その職務」に関するものでなければならないとしている刑法の趣旨をゆがめるものとの批判がある。
A説に対しては、「その職務」を広く捉えるため、賄賂と職務との結び付きを要求する刑法の趣旨をゆがめるとの批判が紹介されている。
根拠条文:刑法の趣旨・e-Govを開く
全体要旨
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