刑法 第414問
教材: 刑法③
司法試験 H20 第6問
論点: 犯人隠避と証拠偽造の教唆
問題
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【事例】
甲は、東京都内の銀行で強盗を行ってその後逃走したが、警察の捜査が自己に及んでいることを知り、アリバイ証人を作って自己の刑事責任を免れようと企て、知人の乙に対して、上記犯行の時刻ころ、乙と一緒に大阪市内にいたことにしてほしいと依頼して、その旨諒させ、同人をして、甲の依頼に沿う内容虚偽の上申書を作成させた上、これを甲の強盗事件を捜査していた警察署の警察官に提出させた。
【論点と見解】
ア 犯人隠避罪の「隠避」の意味について、蔵匿以外の方法により官憲の発見逮捕を免れさせる一切の行為をいうが、犯人の逃走を容易にさせることによって官憲による犯人の身柄の確保を妨げる行為に限り、官憲による犯人の特定作用を妨げ、その結果として犯人の身柄の確保を妨げる行為は含まないとする見解
イ 証拠偽造罪の「証拠」の意味について、参考人の虚偽供述は、「証拠」に含まれるが、文書化されたものに限るとする見解
ウ 証拠偽造罪の「偽造」の意味について、文書偽造罪と同様、作成名義を偽る場合に限るとする見解
エ 証拠偽造教唆罪の成否について、被教唆者・教唆者以外の者の刑事事件に関する証拠を偽造するように教唆し、これが実行された場合に限って成立するとする見解
オ 犯人隠避罪と証拠偽造罪の罪数関係について、両者の保護法益は、広義においては国家の刑事司法作用を保護するものであるが、前者は犯人の確保の観点から、後者は適正な証拠の収集の観点から、それぞれこれを妨害する行為を処罰するものであって、保護法益が異なることを重視する見解
公式解答
2. アウエ
正誤・解説
p1 /
犯人隠避罪の「隠避」の意味について、蔵匿以外の方法により官憲の発見逮捕を免れさせる一切の行為をいうが、犯人の逃走を容易にさせることによって官憲による犯人の身柄の確保を妨げる行為に限り、官憲による犯人の特定作用を妨げ、その結果として犯人の身柄の確保を妨げる行為は含まないとする見解
解説では、アのような見解によれば、本件の上申書提出は「犯人の逃走を容易にさせること」による隠避ではなく、犯人の特定作用を妨げるにとどまるため、犯人隠避罪は成立しないとしている。したがって、本結論を導く論拠にはならない。
根拠条文:刑法103条・e-Govで法令を開く
刑法103条―現行条文本文
第百三条 (犯人蔵匿等)
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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p2 /
証拠偽造罪の「証拠」の意味について、参考人の虚偽供述は、「証拠」に含まれるが、文書化されたものに限るとする見解
解説では、参考人の虚偽供述は文書化されたものに限られず「証拠」に含まれるとしている。したがって、イの見解を前提にすると証拠偽造罪の成立を導けず、この結論の論拠にはならない。
根拠条文:刑法104条・e-Govで法令を開く
刑法104条―現行条文本文
第百四条 (証拠隠滅等)
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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p3 /
証拠偽造罪の「偽造」の意味について、文書偽造罪と同様、作成名義を偽る場合に限るとする見解
解説では、証拠偽造罪の「偽造」は文書偽造罪と同様に作成名義を偽る場合に限るとしており、本件のように虚偽内容の上申書を作成させても「偽造」には当たらないとしている。よって論拠にならない。
p4 /
証拠偽造教唆罪の成否について、被教唆者・教唆者以外の者の刑事事件に関する証拠を偽造するように教唆し、これが実行された場合に限って成立するとする見解
解説では、本件のように被告人らが関与して虚偽内容の書面を作成した事案は、他人の事件に関する証拠を偽造するよう教唆した事案とは異なるとしている。したがって、この見解は本結論の論拠にならない。
根拠条文:刑法61条第1項・e-Govで法令を開く
刑法61条第1項―現行条文本文
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
p5 /
犯人隠避罪と証拠偽造罪の罪数関係について、両者の保護法益は、広義においては国家の刑事司法作用を保護するものであるが、前者は犯人の確保の観点から、後者は適正な証拠の収集の観点から、それぞれこれを妨害する行為を処罰するものであって、保護法益が異なることを重視する見解
解説では、犯人隠避罪と証拠偽造罪は保護法益が異なることを重視するため、両罪の成立と観念的競合を導くことができるとしている。したがって、これは論拠となり得る。
根拠条文:刑法54条第1項・e-Govで法令を開く
刑法54条第1項―現行条文本文
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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全体要旨
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