刑法 第411問
教材: 刑法③
司法試験 H19 第7問
論点: 犯人隠避、証拠隠滅、証拠偽造
問題
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ア 甲は、Aが被疑者として捜査の対象となっている殺人未遂事件に関し、Aの部下でAと被害者との関係について知っているBがいずれ参考人として警察の取調べを受けることを予期しつつ、Bを隠匿した。この場合、(a. 犯人隠避罪が成立する・b. 証拠隠滅罪が成立する)。
イ 甲は、汚職の罪で逃走中の友人Cから頼まれて、Cに対し、Cの留守宅の様子や家族の安否のほか、警察の捜査状況を教えた。この場合、(c. 犯人隠避罪が成立する・d. 不可罰である)。
ウ 暴力団幹部である甲は、自己の犯した業務上過失致死事件について、配下の組員Dに命じて、Dを自己の身代わり犯人として警察に出頭させた。この場合、(e. 不可罰である・f. 犯人隠避教唆罪が成立する)。
エ 甲は、自己が被告人となっている公職選挙法違反事件の証人となったEに対し宣誓の上で虚偽の陳述をするように依頼し、依頼どおりに虚偽の陳述をさせた。この場合、(g. 不可罰である・h. 偽証教唆罪が成立する)。
オ 甲は、自己が被告人となっている横領事件で有利な判決を得る目的から、事件と無関係のFに対し、被害を弁償していないのに、弁償金を受領した旨の被害者名義の領収証を作るように依頼し、これを作成させた。この場合、(i. 証拠偽造教唆罪が成立する・j. 犯人隠避教唆罪が成立する)。
公式解答
4. ア b イ c ウ f エ h オ i
正誤・解説
ア /
甲は、Aが被疑者として捜査の対象となっている殺人未遂事件に関し、Aの部下でAと被害者との関係について知っているBがいずれ参考人として警察の取調べを受けることを予期しつつ、Bを隠匿した。この場合、(a. 犯人隠避罪が成立する・b. 証拠隠滅罪が成立する)。
判例は、犯人隠避罪の「犯人」には、逃走中の者だけでなく、犯罪の嫌疑で捜査を受ける者も含まれ得るとしている。ただし本問のBは参考人にとどまるため、犯人隠避には当たらず、証拠隠滅罪が問題となる。
根拠条文:刑法103条・e-Govで法令を開く刑法104条・e-Govで法令を開く
刑法103条―現行条文本文
第百三条 (犯人蔵匿等)
罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
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刑法104条―現行条文本文
第百四条 (証拠隠滅等)
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
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イ /
甲は、汚職の罪で逃走中の友人Cから頼まれて、Cに対し、Cの留守宅の様子や家族の安否のほか、警察の捜査状況を教えた。この場合、(c. 犯人隠避罪が成立する・d. 不可罰である)。
判例は、逃避中の罪を犯した者からの依頼で、その留守宅の様子等を知らせて逃避を容易にする行為は犯人隠避罪に当たるとしている。単なる生活情報の連絡に見えても、逃走継続を助ける趣旨なら同罪となる。
ウ /
暴力団幹部である甲は、自己の犯した業務上過失致死事件について、配下の組員Dに命じて、Dを自己の身代わり犯人として警察に出頭させた。この場合、(e. 不可罰である・f. 犯人隠避教唆罪が成立する)。
判例によれば、犯人として逮捕拘禁されている者を含む広い意味の「犯人」を隠す行為に、身代わり出頭のような行為も含まれる。したがって、他人を自分の代わりに出頭させると犯人隠避教唆罪が成立する。
エ /
甲は、自己が被告人となっている公職選挙法違反事件の証人となったEに対し宣誓の上で虚偽の陳述をするように依頼し、依頼どおりに虚偽の陳述をさせた。この場合、(g. 不可罰である・h. 偽証教唆罪が成立する)。
証人に宣誓をさせて虚偽陳述をさせれば、証言内容の虚偽により偽証罪の構成要件に当たる。本人が被告人であっても、その証人に虚偽陳述をさせた以上、偽証教唆罪が成立する。
根拠条文:刑法169条・e-Govで法令を開く刑法61条第1項・e-Govで法令を開く
刑法169条―現行条文本文
第百六十九条 (偽証)
法律により宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法61条第1項―現行条文本文
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
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オ /
甲は、自己が被告人となっている横領事件で有利な判決を得る目的から、事件と無関係のFに対し、被害を弁償していないのに、弁償金を受領した旨の被害者名義の領収証を作るように依頼し、これを作成させた。この場合、(i. 証拠偽造教唆罪が成立する・j. 犯人隠避教唆罪が成立する)。
判例は、自己の被告事件について有利な結果を得る目的で、事件と無関係の者に虚偽内容の領収証を作成させれば、他人の刑事事件に関する証拠を偽造したとして証拠偽造罪が成立するとしている。
根拠条文:刑法104条・e-Govで法令を開く刑法61条第1項・e-Govで法令を開く
刑法104条―現行条文本文
第百四条 (証拠隠滅等)
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
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刑法61条第1項―現行条文本文
人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する。
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全体要旨
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