刑法 第406問
教材: 刑法③
司法試験 R02 第8問
論点: 公務執行妨害罪
問題
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公式解答
21212
正誤・解説
p1 /
甲は、市役所の生活保護係職員乙による生活保護に関する説明に不満を抱き、同人に罵声を浴びせながら抗議するとともに、丸めたパンフレットを同人の顔面付近に2、3回突き付け、そのうち1回はパンフレットの先端が同人の頬に触れ、さらに、約2回にわたり、乙が座っている椅子を両手で持って椅子の前脚を床から持ち上げては落とすことによりその身体を揺さぶった。甲の行為は、公務執行妨害罪にいう「暴行」に当たらないので、甲に公務執行妨害罪は成立しない。
判例は、公務員の身体に対する直接の有形力行使に限らず、公務の円滑な執行を妨げる程度の暴行を広く認める。椅子を揺さぶるなどして身体を揺さぶった行為は「暴行」に当たり得る。
根拠条文:刑法95条第1項・e-Govで法令を開く
刑法95条第1項―現行条文本文
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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p2 /
甲は、警察官乙らが捜索差押許可状に基づき甲方の捜索に来た際、乙らにより甲方玄関ドアの鍵が開けられる前に、居室内にあった覚醒剤入りの注射器を足で踏み付けて壊した。甲の行為は、公務執行妨害罪にいう「暴行」に当たらないので、甲に公務執行妨害罪は成立しない。
判例は、同法の公務執行妨害罪の暴行は、直接公務員の身体に向けられたものでなくても、公務員の職務執行を妨げるに足りる有形力なら足りるとしている。本肢では捜索中の証拠物破壊で、暴行に当たり得る。
根拠条文:刑法95条第1項・e-Govで法令を開く
刑法95条第1項―現行条文本文
公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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p3 /
窃盗犯人甲は、その窃盗行為を目撃した制服警察官乙から追跡されている途中で、逮捕を免れるため、同人に対し、その反抗を抑圧するに足りる程度の暴行を加えて抵抗し、そのまま逃走した。甲に事後強盗罪のみが成立し、公務執行妨害罪は成立しない。
窃盗後の逃走中に、逮捕を免れるため警察官に暴行を加えた場合、事後強盗罪の成否とは別に、公務執行妨害罪も問題となる。両罪の成立を否定する趣旨の断定は誤り。
根拠条文:刑法238条・e-Govで法令を開く刑法54条第1項・e-Govで法令を開く
刑法238条―現行条文本文
第二百三十八条 (事後強盗)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
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刑法54条第1項―現行条文本文
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
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p4 /
甲は、日本国内にある外国大使館の職員乙がその大使館の業務に従事していた際に、同人の顔面を殴った。乙は「公務員」に当たらないので、甲に公務執行妨害罪は成立しない。
刑法7条1項の「公務員」は定義規定であり、外国大使館職員でも、刑法上の公務員に当たるかはその職務内容等で判断する。判例は米国領事館員について否定したが、本肢の断定は判例の趣旨に沿う。
根拠条文:刑法7条第1項・e-Govで法令を開く
刑法7条第1項―現行条文本文
この法律において「公務員」とは、国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員をいう。
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p5 /
甲は、税務調査を免れるため、同調査のため甲方に来た所轄税務署職員乙の顔面を殴った。その際、乙は、規則により調査時に携帯が義務付けられている検査章を携帯していなかったが、甲がその呈示を求めることはなかった。乙に規則違反があった以上、この調査は職務の権限外の行為であり、甲に公務執行妨害罪は成立しない。
税務調査権限の有無は、検査章の携帯の有無だけで左右されない。規則違反があっても直ちに職務権限外とはいえず、暴行があれば公務執行妨害罪は成立し得る。
根拠条文:刑法63条・e-Govで法令を開く
刑法63条―現行条文本文
第六十三条 (従犯減軽)
従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。
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全体要旨
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