刑法 第391問
教材: 刑法③
司法試験 H30 第4問
論点: 偽造罪
問題
問題画像

抽出問題文を表示
公式解答
4
正誤・解説
p1 /
甲は、Aから現金を借り入れるに当たり、借入金をAに自ら返済する意思も能力もないのに、これに対し、「自分がAに返済するので、保証人として名前を貸してほしい。」とうそを言い、その旨を信じさせて、Aを貸主、甲を借主とする消費貸借契約書の保証人欄に署名押印させた。これは錯誤に基づいて署名押印しているから、甲には有印私文書偽造罪の間接正犯が成立する。
判例は、私文書偽造の本質を「名義人と作成者の人格の同一性を偽る点」にみる。保証人欄に錯誤で署名押印させても、名義人自体は保証人であり、その人格の同一性を偽ったとはいえないので、間接正犯は成立しない。
根拠条文:刑法159条第1項・e-Govで法令を開く
刑法159条第1項―現行条文本文
行使の目的で、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
一 他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造し、又は偽造した他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造する行為
二 他人の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する電磁的記録文書等を偽造し、又は偽造した他人の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する電磁的記録文書等を偽造する行為
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
p2 /
甲は、取引先に見せて自己に信用があることを誇示するだけの目的で、偽造された約束手形を真正なものとして乙に提示した。偽造有価証券行使罪の「行使」といえるためには、偽造有価証券を真正なものとして流通に置く必要があるから、甲には同罪は成立しない。
判例は、有価証券の「行使」は真正なものとして流通に置く場合に限られないとする。相手方に提示して信用を誇示する目的でも、偽造有価証券の行使に当たりうる。
根拠条文:刑法163条第1項・e-Govで法令を開く刑法148条第2項・e-Govで法令を開く
刑法163条第1項―現行条文本文
偽造若しくは変造の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者は、三月以上十年以下の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
刑法148条第2項―現行条文本文
偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
p3 /
甲は、偽名を用いて会社に就職しようと考え、同会社に提出する目的で、履歴書用紙に、架空人Aの氏名を記載し、その氏名の横にAと刻した印鑑を押印するとともに、自己の顔写真を貼り付けて履歴書を作成した。同履歴書の作成名義人と作成者との人格の同一性にそこを生じさせるものとは認められないから、甲には有印私文書偽造罪は成立しない。
判例は、他人名義の履歴書等に、本人と異なる内容を記載して作成した場合、名義人と作成者の人格の同一性を偽るものとして有印私文書偽造を認める。自己の写真を貼っても結論は変わらない。
根拠条文:刑法159条第1項・e-Govで法令を開く
刑法159条第1項―現行条文本文
行使の目的で、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
一 他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造し、又は偽造した他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造する行為
二 他人の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する電磁的記録文書等を偽造し、又は偽造した他人の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する電磁的記録文書等を偽造する行為
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
p4 /
甲は、信販会社の財産上の事務処理を誤らせる目的で、権限がないのに、同会社の会員名義のクレジットカードの電磁的記録を白地のカード板の磁気部分に印磁して、クレジットカードを構成する電磁的記録を作成したが、その外観は一般人が真正な支払用カードと誤認する程度のものではなかった。支払用カード電磁的記録不正作出罪が成立するためには、一般人が真正な支払用カードと誤認する程度の外観を備える必要はないから、甲には同罪が成立する。
支払用カード電磁的記録不正作出罪は、一般人が真正カードと誤認する外観までは要しない。権限なく、事務処理を誤らせる目的で電磁的記録を作成すれば足りる。
根拠条文:刑法163条の2第1項・e-Govで法令を開く
刑法163条の2第1項―現行条文本文
人の財産上の事務処理を誤らせる目的で、その事務処理の用に供する電磁的記録であって、クレジットカードその他の代金又は料金の支払用のカードを構成するものを不正に作った者は、十年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
預貯金の引出用のカードを構成する電磁的記録を不正に作った者も、同様とする。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
p5 /
県立高校を中途退学した甲は、父親に見せて安心させるだけの目的で、偽造された同高校校長A名義の甲の卒業証書を真正なものとして提示した。甲は、同卒業証書を乙に見せただけであり、公文書に対する公共の信用を害するおそれがないから、甲には偽造有印公文書行使罪は成立しない。
判例は、偽造公文書を真正なものとして提示すれば、相手が父親であっても行使に当たるとする。公共の信用を実際に害したかではなく、真正書類として用いたかが問題となる。
根拠条文:刑法155条第1項・e-Govで法令を開く刑法158条第1項・e-Govで法令を開く
刑法155条第1項―現行条文本文
行使の目的で、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 公務所若しくは公務員の印章若しくは署名(以下この章、第百六十五条及び第百六十七条において「印章等」という。)を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画(以下この章において「文書等」という。)を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章等を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書等を偽造する行為
二 公務所若しくは公務員の電磁的記録印章等(印章等として表示されることとなる電磁的記録をいう。以下この章、第百六十五条及び第百六十七条において同じ。)を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき電磁的記録文書等(文書等として表示されて行使されることとなる電磁的記録をいう。以下この章において同じ。)を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の電磁的記録印章等を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき電磁的記録文書等を偽造する行為
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
刑法158条第1項―現行条文本文
第百五十四条から前条までの文書等若しくは電磁的記録文書等を行使し、同条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供し、又は同条第二項の電磁的記録を人の事務処理の用に供した者は、その文書等若しくは電磁的記録文書等を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書等若しくは電磁的記録文書等を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
全体要旨
解説画像



自己評価
問題時間・解説時間は、 別ページへ移動した時点で確定します。
学習メモ
入力中の内容はこの端末へ自動的に下書き保存されます。 「メモを保存」を押すと改訂履歴へ追加し、 ログイン中はSupabaseへ同期します。
メモの保存履歴
過去版を編集欄へ復元しただけでは下書きです。 「メモを保存」を押すと新しい版として保存されます。