刑法 第378問
教材: 刑法③
司法試験 H20 第8問
論点: 文書偽造罪一般
問題
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公式解答
21122
正誤・解説
1 /
甲は、乙から、乙がA大学の入学試験を受けるに当たり、いわゆる替え玉になって受験してほしい旨依頼されてこれを引き受け、これに成功しA大学の入学試験を受け、乙名義で答案を作成して提出した。大学の入学試験の答案は、私文書偽造罪の客体になるが、甲は作成名義人乙に依頼されて乙名義で答案を作成したのであるから、甲には有印私文書偽造罪は成立しない。
入学試験の答案は、受験者の学力を示す資料として事実証明に関する文書に当たるとされる。作成名義人本人の依頼があっても、替え玉受験で他人名義の答案を作成すれば有印私文書偽造罪は成立し得る。
根拠条文:刑法159条第1項・e-Govで法令を開く
刑法159条第1項―現行条文本文
行使の目的で、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
一 他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造し、又は偽造した他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造する行為
二 他人の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する電磁的記録文書等を偽造し、又は偽造した他人の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する電磁的記録文書等を偽造する行為
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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2 /
甲は、運転免許証を持っていなかったが、身分証明書として利用しようと考え、某県公安委員会が発行した乙の運転免許証の写真を甲の写真に変えた。他人の運転免許証の写真を自己のものに変えることは、文書の本質的部分に変更を加えるものであるから、運転免許証の他の部分に変更を加えていなくても、甲には有印公文書偽造罪が成立する。
運転免許証の写真や生年月日記載は、その文書の重要部分に当たる。写真を差し替えて別人の免許証のように見せる行為は、文書の同一性を害するため有印公文書偽造罪が成立する。
根拠条文:刑法158条第1項・e-Govで法令を開く
刑法158条第1項―現行条文本文
第百五十四条から前条までの文書等若しくは電磁的記録文書等を行使し、同条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供し、又は同条第二項の電磁的記録を人の事務処理の用に供した者は、その文書等若しくは電磁的記録文書等を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書等若しくは電磁的記録文書等を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
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3 /
甲は、外国籍の女性乙に長期滞在資格を取得させるため婚姻を偽装しようと考え、甲を夫とし乙を妻として婚姻する旨の内容虚偽の婚姻届を作成し、情を知らない市役所の係員に提出した。同係員は、同婚姻届を受理し、甲の戸籍の原本として用いられる電磁的記録に甲と乙が婚姻した旨の記録をし、これを同市役所の事務処理に用いる状態においた。甲は、公務員に対し虚偽の申立てをして、権利義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせたが、原本としての用に供したのであるから、甲には電磁的公正証書原本不実記録罪、同供用罪が成立する。
虚偽の婚姻届で戸籍の原本となる電磁的記録に不実の記録をさせ、これを事務処理に用いる状態に置かせれば、不実記録とその供用の両罪が成立する。婚姻届の名目でも、戸籍に反映される記録を虚偽にした点が問題となる。
根拠条文:刑法157条第1項・e-Govで法令を開く刑法158条第1項・e-Govで法令を開く
刑法157条第1項―現行条文本文
公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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刑法158条第1項―現行条文本文
第百五十四条から前条までの文書等若しくは電磁的記録文書等を行使し、同条第一項の電磁的記録を公正証書の原本としての用に供し、又は同条第二項の電磁的記録を人の事務処理の用に供した者は、その文書等若しくは電磁的記録文書等を偽造し、若しくは変造し、虚偽の文書等若しくは電磁的記録文書等を作成し、又は不実の記載若しくは記録をさせた者と同一の刑に処する。
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4 /
医師である甲は、乙に依頼され、同人が保険会社に提出する診断書に、同人が肺結核に罹患した事実はないのに、同人が肺結核に罹患している旨記載した。医師である甲が、保険会社に提出する診断書に虚偽の記載をしたのであるから、甲には虚偽診断書作成罪が成立する。
虚偽診断書作成罪は、医師が公所に提出すべき診断書等に虚偽記載をした場合に問題となる。保険会社提出用の診断書に虚偽を記載しただけでは、同罪の対象外である。
根拠条文:刑法160条・e-Govで法令を開く
刑法160条―現行条文本文
第百六十条 (虚偽診断書等作成)
医師が、公務所に提出すべき診断書、検案書若しくは死亡証書に虚偽の記載をし、又は公務所に提出すべき電磁的記録文書等であって、診断書、検案書若しくは死亡証書の全部若しくは一部として用いられるものに虚偽の記録をしたときは、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
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5 /
甲は、乙に100万円を貸したが、乙が甲に借用証を渡さなかったので、乙が返済しなかった場合に証拠として使おうと考え、乙に無断で乙の氏名を記載し、乙名義の100万円の借用証を作成した。文書の内容が真実であるから、甲には有印私文書偽造罪は成立しない。
私文書偽造罪は、文書名義人と作成者の人格の同一性を偽る点に本質がある。内容が真実でも、他人名義で無断作成した借用証は偽造文書となり、有印私文書偽造罪が成立する。
根拠条文:刑法159条第1項・e-Govで法令を開く
刑法159条第1項―現行条文本文
行使の目的で、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者は、三月以上五年以下の拘禁刑に処する。
一 他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造し、又は偽造した他人の印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書等を偽造する行為
二 他人の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する電磁的記録文書等を偽造し、又は偽造した他人の電磁的記録印章等を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する電磁的記録文書等を偽造する行為
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全体要旨
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