刑法 第371問
教材: 刑法③
司法試験 R04 第15問
論点: 放火罪
問題
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【見解】
A. 放火罪にいう「焼損」とは、火が媒介物を離れて目的物に燃え移り、目的物が独立して燃焼を継続し得るに至った状態を意味する。
B. 放火罪にいう「焼損」とは、目的物の重要部分が燃焼し、本来の効用を喪失した状態を意味する。
【記述】
ア. Aの見解に対しては、Bの見解から、放火罪が公共危険罪であることを軽視しているとの批判が可能である。
イ. Aの見解に対しては、Bの見解よりも中止犯が成立する範囲が狭くなるため、刑事政策的に望ましくないとの批判が可能である。
ウ. Bの見解に対しては、刑法第109条第2項、第110条第2項が自己所有物に対する放火を処罰していることから、放火罪の既遂時期をその財産犯的側面から決するのは妥当でないとの批判が可能である。
エ. Bの見解に対しては、客体が建造物の場合、全焼又は半焼に至らない限り放火罪が既遂に達しない可能性があり、その場合には既遂時期が遅く失するとの批判が可能である。
オ. A及びBのいずれの見解に対しても、不燃性の建造物に放火した場合、内装の融解により有毒ガスが発生し、人の生命・身体に危険を生じさせたとしても、建造物自体が燃焼しない限り放火罪の既遂犯が成立しないため、処罰範囲が狭すぎるとの批判が可能である。
公式解答
21111
正誤・解説
A /
放火罪にいう「焼損」とは、火が媒介物を離れて目的物に燃え移り、目的物が独立して燃焼を継続し得るに至った状態を意味する。
解説でAの見解は独立燃焼説とされ、判例の理解として採用されている。
根拠条文:刑法109条第2項・e-Govで法令を開く刑法110条第2項・e-Govで法令を開く
刑法109条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の拘禁刑に処する。
ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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刑法110条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
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B /
放火罪にいう「焼損」とは、目的物の重要部分が燃焼し、本来の効用を喪失した状態を意味する。
解説でBの見解は効用喪失説とされ、こちらも学説上の見解として示されている。
根拠条文:刑法109条第2項・e-Govで法令を開く刑法110条第2項・e-Govで法令を開く
刑法109条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の拘禁刑に処する。
ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
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刑法110条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
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ア /
Aの見解に対しては、Bの見解から、放火罪が公共危険罪であることを軽視しているとの批判が可能である。
解説では、この批判はAではなくBに対するものとされている。Aは公共危険性を重視しないというより、独立燃焼に着目する立場である。
根拠条文:刑法109条第2項・e-Govで法令を開く刑法110条第2項・e-Govで法令を開く
刑法109条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の拘禁刑に処する。
ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
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刑法110条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
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イ /
Aの見解に対しては、Bの見解よりも中止犯が成立する範囲が狭くなるため、刑事政策的に望ましくないとの批判が可能である。
解説どおり、Aは既遂時期が早く、中止犯が成立しうる余地がBより狭くなるため、刑事政策上の批判が可能である。
根拠条文:刑法109条第2項・e-Govで法令を開く刑法110条第2項・e-Govで法令を開く
刑法109条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の拘禁刑に処する。
ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
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前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
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ウ /
Bの見解に対しては、刑法第109条第2項、第110条第2項が自己所有物に対する放火を処罰していることから、放火罪の既遂時期をその財産犯的側面から決するのは妥当でないとの批判が可能である。
解説どおり、自己所有物放火の処罰規定との関係から、Bのように財産犯的側面で既遂を決めるのは妥当でないと批判できる。
根拠条文:刑法109条第2項・e-Govで法令を開く刑法110条第2項・e-Govで法令を開く
刑法109条第2項―現行条文本文
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ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
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刑法110条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
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エ /
Bの見解に対しては、客体が建造物の場合、全焼又は半焼に至らない限り放火罪が既遂に達しない可能性があり、その場合には既遂時期が遅く失するとの批判が可能である。
解説どおり、Bは焼損を効用喪失で捉えるため、建造物では全焼・半焼まで既遂が遅れるとの批判が可能である。
根拠条文:刑法109条第2項・e-Govで法令を開く刑法110条第2項・e-Govで法令を開く
刑法109条第2項―現行条文本文
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前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
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オ /
A及びBのいずれの見解に対しても、不燃性の建造物に放火した場合、内装の融解により有毒ガスが発生し、人の生命・身体に危険を生じさせたとしても、建造物自体が燃焼しない限り放火罪の既遂犯が成立しないため、処罰範囲が狭すぎるとの批判が可能である。
解説どおり、建物本体が燃焼しない限り既遂としないと、危険が生じても処罰できず狭すぎるという批判がA・B双方に向けられる。
根拠条文:刑法109条第2項・e-Govで法令を開く刑法110条第2項・e-Govで法令を開く
刑法109条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の拘禁刑に処する。
ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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全体要旨
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