刑法 第372問
教材: 刑法③
司法試験 R05 第8問
論点: 放火罪
問題
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公式解答
3 / 4
正誤・解説
1 /
人が居住する木造建物Aと人が居住していない木造建物Bは、木造の渡り廊下で接合され、渡り廊下を通じて人の行き来のある構造となっていた。甲は、これらの事実を認識した上で、その当時誰もいなかった建物Bに放火して建物Bを焼損した。この場合、建物Aに延焼しなければ、甲に現住建造物等放火既遂罪が成立することはない。
判例は、構造上一体といえる場合には、非居住部分への放火でも全体に危険が及ぶとして現住建造物等放火既遂罪の成立を認める。延焼しなければ成立しない、とはいえない。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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2 /
甲は、Vがその家族と共に居住する木造家屋に放火してこれを焼損した。この場合、Vとその家族が1泊2日の旅行中で不在であり、甲がそのことを認識して放火したのであれば、甲に現住建造物等放火既遂罪が成立することはない。
一時的に不在でも、日常生活の用に供される居宅で使用形態に変化がなければ「現に人が住居に使用」する建造物に当たる。旅行中不在だから成立しないとはいえない。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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3 /
甲は、妻と二人で居住する木造家屋の壁に掛けられたカレンダーに火をつけた。この場合、上記カレンダーが焼損した時点で、これに気付いた妻に火を消し止められ、他に燃え移るなかったのであれば、甲に現住建造物等放火既遂罪が成立することはない。
建物の一部といえるには、当該物件が建物の一部として外せない状態であることが必要。壁のカレンダーが焼損しただけで建物部分に燃え移っていなければ、建造物焼損とはいえない。
4 /
甲は、火災保険金を詐取する目的で、自らが単独で居住し、かつ、誰も現に存在しない木造家屋に放火してこれを焼損した。この場合、刑法第108条の「現に人が住居に使用し又は現に人がいる」の「人」に犯人は含まれないから、甲に現住建造物等放火既遂罪が成立することはない。
108条の「人」は犯人以外の者を指す。単独居住の家に自ら放火した場合でも、現住建造物等放火既遂罪が当然に成立しない、という説明は判例に沿う。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く刑法109条第1項・e-Govで法令を開く刑法110条第1項・e-Govで法令を開く刑法115条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法109条第1項―現行条文本文
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
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刑法110条第1項―現行条文本文
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法115条―現行条文本文
第百十五条 (差押え等に係る自己の物に関する特例)
第百九条第一項及び第百十条第一項に規定する物が自己の所有に係るものであっても、差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、配偶者居住権が設定され、又は保険に付したものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による。
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5 /
甲は、Vが居住する木造家屋の押し入れの床にガソリンをまいて火をつけたところ、同押し入れの床板が独立して燃焼するに至ったが、他に燃え移る前に消し止められた。この場合、上記家屋の効用を失うに至っていなければ、甲に現住建造物等放火既遂罪が成立することはない。
建物の一部が独立して燃えただけでも、家屋全体の効用喪失まで要しない。判例は、居住家屋の一部を焼損して独立燃焼に至れば足りるとしており、効用喪失までは不要。
全体要旨
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