刑法 第367問
教材: 刑法③
司法試験 H30 第16問
論点: 放火の罪
問題
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ア~オの各記述について、判例の立場に従って正誤を判定する。
公式解答
21122
正誤・解説
p1 /
甲は、自己が所有する家屋に一人で居住していたが、同家屋に掛けられた火災保険の保険金を詐取しようと考え、同家屋に放火して全焼させ、公共の危険を生じさせた。甲には自己所有非現住建造物等放火罪(刑法第109条第2項)が成立する。
108条は現住性のある建造物を対象とするが、ここでは一人で居住する家屋でも、火災保険が掛けられていれば「自己の所有に係る」物とはいえず、非現住建造物等放火罪(109条2項)ではなく他人所有非現住建造物等放火罪の問題となる。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く刑法109条第2項・e-Govで法令を開く刑法115条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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刑法109条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の拘禁刑に処する。
ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
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刑法115条―現行条文本文
第百十五条 (差押え等に係る自己の物に関する特例)
第百九条第一項及び第百十条第一項に規定する物が自己の所有に係るものであっても、差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、配偶者居住権が設定され、又は保険に付したものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による。
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p2 /
甲は、競売手続を妨害する目的で、人が住んでいるように見せ掛けるため、空き屋であった家屋に家財道具を持ち込むなどして住居として使用可能な状態にした上、自己が経営する会社の従業員5名を約1か月半前から10数回にわたり交替で泊り込ませていたところ、同従業員らが不在にしている際に、同家屋に放火して全焼させた。甲には現住建造物等放火罪(刑法第108条)が成立する。
判例は、形式的に空き家であっても、家財道具を入れて住居として使用可能にし、継続的に人が泊まっていた事情があれば、現住建造物に当たるとする。したがって、108条の成立を認める。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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p3 /
甲は、乙が住居に使用する家屋及びこれに隣接する丙が住居に使用する家屋を燃やそうと考え、この家屋に放火してその火を丙の家屋に燃え移らせ、乙及び丙の各家屋を共に全焼させた。甲には1個の現住建造物等放火罪(刑法第108条)が成立する。
判例は、隣接する2棟の住家を1個の放火行為で燃え移らせて全焼させた場合、単一の放火罪として処理する立場を示している。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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p4 /
甲は、住宅街の中にある駐車場内に駐車されていた乙所有の自動車にガソリンをまいて放火したところ、同自動車が勢いよく炎上し、その付近に駐車されていた所有者の異なる自動車3台に火が燃え移らない状態になったが、付近の建造物に燃え移る危険は生じなかった。甲には他人所有建造物以外放火罪(刑法第110条第1項)は成立しない。
110条1項の「公共の危険」は、建造物への延焼だけでなく、不特定又は多数人の生命・身体や建造物以外の財産への危険も含む。車両への放火でも、その周囲の状況から公共の危険が生じれば成立する。
根拠条文:刑法110条第1項・e-Govで法令を開く
刑法110条第1項―現行条文本文
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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p5 /
甲は、乙が住居に使用する家屋を燃やそうと考え、同家屋の6畳和室に敷かれた布団に灯油をまいて放火し、火は布団からその下に敷かれた畳に燃え移って炎上したが、他に燃え移る前に乙によって消し止められた。甲には現住建造物等放火罪(刑法第108条)の既遂罪が成立する。
108条の既遂には建造物の一部を焼損したといえる程度の燃焼が必要で、布団が燃え、さらに畳に燃え移っても、それだけでは家屋の一部を焼損したとはいえない。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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全体要旨
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