刑法 第366問
教材: 刑法③
予備試験 H29 第8問
論点: 放火の罪
問題
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公式解答
4
正誤・解説
p1 /
甲は、住宅街の駐車場に駐車中の乙所有の自動車を燃やそうと考え、自己の自動車に灯油を積みライターを持って同自動車を運転して同駐車場に向かったところ、途中、交通事故を起こし、乙所有の自動車に放火することができなかった。この場合、甲には、建造物等以外放火罪の予備罪が成立する。
建造物等以外放火罪の予備罪は、108条・109条1項の罪を犯す目的でその予備をした場合に成立するが、車両放火を狙って駐車場へ向かう行為は他人所有建造物等以外放火罪の予備に当たらないとされる。
根拠条文:刑法110条第1項・e-Govで法令を開く刑法110条第2項・e-Govで法令を開く刑法113条・e-Govで法令を開く刑法108条・e-Govで法令を開く刑法109条第1項・e-Govで法令を開く
刑法110条第1項―現行条文本文
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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刑法110条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
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刑法113条―現行条文本文
第百十三条 (予備)
第百八条又は第百九条第一項の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の拘禁刑に処する。
ただし、情状により、その刑を免除することができる。
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刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法109条第1項―現行条文本文
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
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p2 /
甲は、乙が居住する乙所有の家屋を燃やそうと考え、同家屋に放火し全焼させたところ、同家屋内で就寝中の乙が焼死した。甲が乙を殺そうと考えて同家屋に放火した場合でも、甲には、法定刑に死刑を含む現住建造物等放火罪のみが成立する。
判例は、放火と殺人が一個の行為に触れる場合、現住建造物等放火罪と殺人罪が成立し、54条1項前段・10条により最も重い罪で処断するとする。放火罪だけではない。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く刑法199条・e-Govで法令を開く刑法54条第1項・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法199条―現行条文本文
第百九十九条 (殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法54条第1項―現行条文本文
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
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p3 /
甲は、山奥で乙を殺害した後、乙の失踪を装うため、乙が一人で居住していた丙所有の家屋を燃やそうと考え、同家屋に放火し全焼させた。同家屋に人がいなかった場合でも、甲には、現住建造物等放火罪が成立する。
判例は、既に殺害した者の遺体のある家屋に放火して焼損しても、当該家屋は「人の現在する事実なき以上」109条の対象となるとする。したがって現住建造物等放火罪ではない。
根拠条文:刑法109条第1項・e-Govで法令を開く
刑法109条第1項―現行条文本文
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
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p4 /
甲は、不要となった甲所有の自動車を燃やそうと考え、同自動車に放火し全焼させ、公共の危険を生じさせた。甲に公共の危険が生じることについての認識がなかった場合でも、甲には、建造物等以外放火罪が成立する。
判例は、110条1項の放火罪成立には、焼損の認識は要るが、結果として公共の危険を生じさせることまでの認識は不要とする。自己所有車でも同条2項により処罰される。
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刑法110条第1項―現行条文本文
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法110条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
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p5 /
甲は、乙が居住する乙所有の家屋の壁際に駐車されていた乙所有の自動車に放火して焼損し、同家屋への延焼の危険を生じさせたが、その火は通行人により消し止められ、同家屋に燃え移らなかった。この場合、甲には、建造物等以外放火罪のみが成立する。
判例は、住居に使用する家屋に接近する物に放火し、その燃焼作用により延焼のおそれのある状態に置けば、108条の着手が認められるとする。よって未遂も問題となる。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く刑法112条・e-Govで法令を開く刑法43条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法112条―現行条文本文
第百十二条 (未遂罪)
第百八条及び第百九条第一項の罪の未遂は、罰する。
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刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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全体要旨
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