刑法 第362問
教材: 刑法③
司法試験 H24 第17問
論点: 放火罪
問題
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公式解答
2 / 3
正誤・解説
1 /
甲は、日頃恨みを持っていたVの所有する自動車が止めてある駐車場に出向き、同車にガソリンをかけて火をつけ、同車を焼損させたところ、同駐車場に駐車されていた第三者が所有する自動車10台に延焼する危険が生じたものの、駐車場が住宅地から離れていたため、住宅その他の建物に延焼する危険は生じなかった。甲には建造物等以外放火既遂罪は成立しない。
判例上、108条の「公共の危険」には、建造物等への延焼だけでなく、不特定又は多数人の生命・身体・財産への危険も含まれる。自動車10台への延焼危険があれば、建造物がなくても既遂が成立しうる。
根拠条文:刑法110条第1項・e-Govで法令を開く刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法110条第1項―現行条文本文
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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2 /
甲は、周囲に他の住宅のない場所に空家を所有する乙から、同家屋に付された火災保険金をだまし取る計画を持ちかけられ、これに応じることとし、同家屋に立ち掛けてあった薪に灯油をかけて火をつけたところ、火は同家屋の取り外し可能な雨戸に燃え移ったが、またたく間に降り出した激しい雨によって鎮火した。甲には他人所有非現住建造物等放火未遂罪が成立することとなる。
空家でも、他人所有で現に人が住居に使用せず、かつ現に人がいない建造物に当たれば109条の対象となる。雨戸は取り外し可能でも、建造物の一部として焼損すれば既遂・未遂の問題となりうる。
根拠条文:刑法109条第1項・e-Govで法令を開く刑法115条・e-Govで法令を開く刑法112条・e-Govで法令を開く刑法43条・e-Govで法令を開く
刑法109条第1項―現行条文本文
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
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刑法115条―現行条文本文
第百十五条 (差押え等に係る自己の物に関する特例)
第百九条第一項及び第百十条第一項に規定する物が自己の所有に係るものであっても、差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、配偶者居住権が設定され、又は保険に付したものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による。
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刑法112条―現行条文本文
第百十二条 (未遂罪)
第百八条及び第百九条第一項の罪の未遂は、罰する。
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刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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3 /
甲は、深夜、本殿・祭具庫・社務所・守衛詰所が木造の回廊で接続され、一部に火を放てば他の部分に延焼する可能性がある構造の神社の祭具庫壁付近にガソリンをまいてこれに火をつけた。その結果、無人の祭具庫は全焼したものの、Vらが現在する社務所・守衛詰所には、火は燃え移らなかった。甲には現住建造物等放火既遂罪が成立する。
神社の各建物が回廊で接続され、全体として一体の危険がある構造なら、物理的・機能的に一個の現住建造物とみる判例がある。無人部分の焼損でも現住建造物等放火既遂が成立しうる。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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4 /
甲は、日頃恨みを持っていたVが居住するマンション内部に設置されたエレベーターのかご内に、ガソリンを染み込ませて点火した新聞紙を投げ入れて放火し、エレベーターのかご内部を焼損させた。甲には現住建造物等放火未遂罪が成立することとなる。
エレベーターのかご内部を焼損させた事案でも、判例は建造物の一部として既遂を認める。したがって、未遂ではなく既遂の問題となる。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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5 /
甲は、妻所有の一戸建て木造家屋に妻と二人で暮らしていたところ、ある日、同家屋内において、口論の末に激高して妻を殺害し、その直後に犯跡を隠すため、同家屋に火をつけて全焼させたが、周囲の住宅には燃え移らなかった。甲には現住建造物等放火既遂罪が成立する。
住居内に人がいなくなった後、犯跡隠滅のために放火しても、当該家屋が他人の現住建造物に当たるかは別途検討を要する。判例は、妻を殺害した事案でも109条該当として扱っている。
根拠条文:刑法109条第1項・e-Govで法令を開く
刑法109条第1項―現行条文本文
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
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全体要旨
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