刑法 第361問
教材: 刑法③
司法試験 H23 第9問
論点: 放火罪の故意
問題
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【事例】
甲は、乙が所有し単身で居住している木造家屋の玄関前において、同所に駐車中の乙所有の自動二輪車の車体にガソリンをまいた上、新聞紙にライターで点火し、これを同車に投げ付け、同車を炎上させたところ、火が上記家屋に燃え移って全焼した。
公式解答
2 / 4
正誤・解説
1 /
火が家屋に燃え移ることを甲が認識・認容していなかった場合、同家屋に対する延焼罪が成立する。
判例は、火が家屋に燃え移ることについての認識・認容がない以上、現住建造物等放火罪の故意は認められないとしている。したがって、家屋に対する延焼罪の成立を肯定するのは誤り。
根拠条文:刑法38条第1項・e-Govで法令を開く刑法108条・e-Govで法令を開く刑法110条第1項・e-Govで法令を開く刑法111条第1項・e-Govで法令を開く
刑法38条第1項―現行条文本文
罪を犯す意思がない行為は、罰しない。
ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。
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刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法110条第1項―現行条文本文
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法111条第1項―現行条文本文
第百九条第二項又は前条第二項の罪を犯し、よって第百八条又は第百九条第一項に規定する物に延焼させたときは、三月以上十年以下の拘禁刑に処する。
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2 /
甲は、火が家屋に燃え移ることを認識・認容していたが、同家屋は居住する者のいない空き家であって同家屋内には誰もいないものと誤信していた場合、他人所有非現住建造物等放火罪が成立する。
家屋が空き家であっても他人所有であれば他人所有非現住建造物等放火罪の構成要件に当たり、空き家内に人がいないという誤信は故意を左右しない。
根拠条文:刑法109条第1項・e-Govで法令を開く刑法38条第2項・e-Govで法令を開く刑法110条第2項・e-Govで法令を開く
刑法109条第1項―現行条文本文
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
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刑法38条第2項―現行条文本文
重い罪に当たるべき行為をしたのに、行為の時にその重い罪に当たることとなる事実を知らなかった者は、その重い罪によって処断することはできない。
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刑法110条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
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3 /
火が家屋に燃え移ること及び同家屋に乙が居住していることを甲が認識・認容していた場合において、甲と乙が、同家屋に掛けられていた火災保険の保険金をだまし取るため、放火することを共謀していたときは、他人所有現住建造物等放火罪が成立する。
判例は、犯人自身が居住していない家屋は『人の現に住居に使用する建造物』に当たらず、火災保険金目的の共謀があっても他人所有現住建造物等放火罪は成立しないとしている。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く刑法115条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法115条―現行条文本文
第百十五条 (差押え等に係る自己の物に関する特例)
第百九条第一項及び第百十条第一項に規定する物が自己の所有に係るものであっても、差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、配偶者居住権が設定され、又は保険に付したものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による。
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4 /
火が家屋に燃え移ること及び同家屋に乙が居住していることを甲が認識・認容していた場合において、現実には同家屋内に乙がいたのに、乙は外出中で同家屋内には誰もいないものと甲が誤信していたときは、現住建造物等放火罪が成立する。
判例は、同居人が現に住居に使用する建造物であれば108条の現住性を満たし、現実の在室状況を誤信していても故意は妨げられないとしている。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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5 /
甲は、火が家屋に燃え移ることを認識・認容していただけでなく、同家屋内で就寝中の乙が焼け死ぬことを認識・認容していた場合、現実に乙が焼死したときには、現住建造物等放火罪と殺人罪が成立し、後者は前者に吸収される。
判例は、放火と殺人が同一行為で複数の罪名に触れる場合、重い現住建造物等放火罪で処断し、殺人罪が放火罪に吸収されるとする。逆の吸収ではない。
根拠条文:刑法199条・e-Govで法令を開く刑法54条第1項・e-Govで法令を開く刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法199条―現行条文本文
第百九十九条 (殺人)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法54条第1項―現行条文本文
一個の行為が二個以上の罪名に触れ、又は犯罪の手段若しくは結果である行為が他の罪名に触れるときは、その最も重い刑により処断する。
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刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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全体要旨
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