刑法 第360問
教材: 刑法③
司法試験 H21 第11問
論点: 放火の罪
問題
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公式解答
4
正誤・解説
p1 /
甲は、乙が一人で住居に使用する乙所有の家屋の中で同人を殺害した後、だれもいない同家屋に放火してこれを焼損した。この場合、乙が死亡した後でも人が同家屋を訪問する可能性があり、「現に人が住居に使用」する建造物といえるので、現住建造物等放火罪が成立する。
判例は、他に住居者がいなくなり、現在は人が住居に使用していない場合には現住性を否定する。乙死亡後に訪問可能性があるだけでは足りない。
根拠条文:刑法109条第1項・e-Govで法令を開く
刑法109条第1項―現行条文本文
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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p2 /
甲は、乙が住居に使用する同人所有の家屋を燃やそうと考え、火の付いた新聞紙を同家屋内のふすまに近づけ、新聞紙の火をふすまに燃え移らせてこれを燃焼させた。この場合、火が媒介物である新聞紙を離れてふすまが独立に燃焼するに至ったのであるから、この段階で、現住建造物等放火罪の既遂が成立する。
判例は、建造物の一部といえる状態まで燃え移ったことが必要で、単に媒介物から独立燃焼しただけでは足りないとしている。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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p3 /
甲は、乙が住居に使用する同人所有の家屋を同家屋に放火した後、さらに、同家屋に隣接する丙所有の物置を燃やそうと思い付き、同物置に放火し、同家屋及び同物置を同時に焼損した。この場合、甲は複数の放火行為を行い、所有者の異なる複数の建造物を焼損しているので、現住建造物等放火罪及び非現住建造物等放火罪の各既遂罪が成立し、両者は併合罪となる。
同一の意思の下で連続して放火し、現住建造物と非現住建造物を焼損した場合は、判例上、各罪は連続犯(包括一罪)として扱われる。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く刑法109条第1項・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法109条第1項―現行条文本文
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
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p4 /
甲は、多数人が住居に使用するマンションの居住者用エレベーターのかご内で火を放ち、同かごの側壁に燃え移らせてこれを焼損した。同かごは取り外しが可能であるが、そのための工事は著しい時間と費用を要するものであった。この場合、同かごは同マンションの一部といえるので、現住建造物等放火罪の既遂が成立する。
判例は、取り外し可能でも、そのために著しい工事を要するエレベーターのかごをマンションの一部とみて、現住建造物等放火罪の成立を認めている。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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p5 /
甲は、公共の危険発生の認識がないまま、自己所有の自動車に放火してこれを焼損したところ、公共の危険が生じた。この場合、甲には公共の危険発生の認識がないのであるから、建造物等以外放火罪の既遂は成立しない。
判例は、110条1項の成立に火災の結果として公共の危険が生じる認識までは要しないとしている。自己所有物については同条2項の問題もあるが、設問のように既遂を当然に否定できない。
根拠条文:刑法110条第1項・e-Govで法令を開く刑法110条第2項・e-Govで法令を開く
刑法110条第1項―現行条文本文
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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刑法110条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
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全体要旨
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