刑法 第359問
教材: 刑法③
司法試験 H20 第10問
論点: 放火罪の成否
問題
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ア〜オの各記述の正誤を判例の立場に従って判断し、正しい組合せを選ぶ。
公式解答
3. イ ウ
正誤・解説
p1 /
甲は、乙所有の自動車に放火してこれを焼損し、公共の危険を発生させた。甲には自動車を焼損する意思しかなく、付近の建造物に延焼させる意思はなかったが、乙が住居として使用する乙所有の木造家屋に火が燃え移って同家屋が全焼した。この場合、甲には延焼罪が成立する。
110条1項は他人所有建造物等以外放火、111条1項はその延焼を処罰するが、説明では自動車放火による延焼先が住宅であっても、111条の「他人所有非現住建造物等」は108条・109条1項の物に限られるとして延焼罪を否定している。
根拠条文:刑法110条第1項・e-Govで法令を開く刑法111条第1項・e-Govで法令を開く刑法109条第2項・e-Govで法令を開く刑法109条第1項・e-Govで法令を開く刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法110条第1項―現行条文本文
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法111条第1項―現行条文本文
第百九条第二項又は前条第二項の罪を犯し、よって第百八条又は第百九条第一項に規定する物に延焼させたときは、三月以上十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法109条第2項―現行条文本文
前項の物が自己の所有に係るときは、六月以上七年以下の拘禁刑に処する。
ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
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刑法109条第1項―現行条文本文
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
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刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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p2 /
甲は、乙が住居として使用する乙所有の木造家屋に延焼させる意思で、同家屋に隣接し、だれも住居として使用せず、だれも現在しない丙所有の家屋に放火してこれを全焼させたが、上記乙所有の家屋には燃え移らなかった。この場合、甲には現住建造物等放火未遂罪が成立する。
判例・説明では、現住建造物等放火は、目的建物に放火しなくても、その焼損により現住建造物へ延焼する危険が発生すれば足りるとしている。隣家に放火し延焼の危険があるので未遂が成立する。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く刑法112条・e-Govで法令を開く刑法43条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法112条―現行条文本文
第百十二条 (未遂罪)
第百八条及び第百九条第一項の罪の未遂は、罰する。
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刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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p3 /
甲は、甲がその家族と共に住居として使用する甲所有の木造家屋に放火して半焼させたが、隣家に燃え移る危険は発生しなかった。この場合、甲には現住建造物等火罪が成立する。
108条の『人』は犯人以外の者を含むと説明されており、自己所有でも現住建造物に当たる。隣家への危険がなくても、住居に使用中の建造物を焼損すれば既遂となる。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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p4 /
甲は、乙所有の自動車に放火してこれを焼損させたが、公共の危険は発生しなかった。この場合、甲には建造物等以外放火罪が成立する。
110条1項は、前2条に規定する物以外の物を焼損し、かつ公共の危険を生じさせた場合に成立する。公共の危険が発生していない以上、同罪は成立しない。
根拠条文:刑法110条第1項・e-Govで法令を開く刑法2条・e-Govで法令を開く
刑法110条第1項―現行条文本文
放火して、前二条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法2条―現行条文本文
第二条 (すべての者の国外犯)
この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯したすべての者に適用する。
一 削除
二 第七十七条から第七十九条まで(内乱、予備及び陰謀、内乱等幇助)の罪
三 第八十一条(外患誘致)、第八十二条(外患援助)、第八十七条(未遂罪)及び第八十八条(予備及び陰謀)の罪
四 第百四十八条(通貨偽造及び行使等)の罪及びその未遂罪
五 第百五十四条(詔書偽造等)、第百五十五条(公文書偽造等)、第百五十七条(公正証書原本不実記載等)、第百五十八条(偽造公文書行使等)及び公務所又は公務員によって作られるべき電磁的記録に係る第百六十一条の二(電磁的記録不正作出及び供用)の罪
六 第百六十二条(有価証券偽造等)及び第百六十三条(偽造有価証券行使等)の罪
七 第百六十三条の二から第百六十三条の五まで(支払用カード電磁的記録不正作出等、不正電磁的記録カード所持、支払用カード電磁的記録不正作出準備、未遂罪)の罪
八 第百六十四条から第百六十六条まで(御璽偽造及び不正使用等、公印偽造及び不正使用等、公記号偽造及び不正使用等)の罪並びに第百六十四条第二項、第百六十五条第二項及び第百六十六条第二項の罪の未遂罪
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p5 /
甲は、多数人が住居として使用する乙所有の集合住宅一棟を全焼させる意思で、同住宅のうち、だれも現在しない空き部屋に放火した。他の住居部分に燃え移る可能性はあったが、甲が放火した空き部屋の床及び天井の大部分が焼失した時点で消火されたため、他の住居部分は燃焼しなかった。この場合、甲には現住建造物等放火未遂罪が成立するとどまる。
判例では、集合住宅全体を一個の現住建造物として扱い、空き部屋に火が付いて延焼の可能性がある場合でも、他の住居部分に燃え移る前なら既遂ではなく、説明は未遂ではなく既遂を肯定している。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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全体要旨
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