刑法 第349問
教材: 刑法③
司法試験 H24 第15問
論点: 各種犯罪
問題
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【事例】
甲と乙は、V経営の食料品店で買った弁当を食べたら食中毒になった旨の嘘を言って因縁を付けてVを脅迫するとともに、同人に軽度の暴行を加え、これらの暴行・脅迫により同人を畏怖させて、損害賠償の名目で50万円を支払わせ、これを分配することを計画した。乙は、計画に従い、同店に行き、Vに対し、「この店の弁当を食べたら食中毒になった。店の営業を続けたければ50万円払え。払わないと、この店の弁当で食中毒になったと書いたビラをばらまくぞ。」と詰気説く申し向けた上、Vの顔を手の平で軽くたたいた。Vは、これをよけようとした際、バランスを崩して転倒し、全治約1週間を要する後頭部打撲の怪我を負った。
Vは、乙が食中毒になったことは嘘であると気付いたが、この要求に応じないと、更に暴力を振るわれたり、店を中傷するビラをまかれるかもしれないと畏怖し、手持ちの現金30万円を乙に渡し、残りの20万円は翌日支払うことで乙を納得させた。
乙は、同店を出て、甲と会い、前記経緯を説明した上、Vから受け取った30万円のうち15万円を分け前として甲に渡した。
乙は、翌日、同店を訪れてVから残りの20万円を受け取ろうとしたが、通報を受けた警察官が同店に近くにいたので、20万円の受取は断念した。
乙は、甲に事前に相談することなく、腹いせに、「V経営の食料品店で買った弁当を食べた客が食中毒になった。」という虚偽の事実が書かれたビラを多数の者に配布した。
なお、甲は、乙がVに怪我を負わせることや前記ビラを配ることを予想していなかった。
公式解答
正解 / 1 / 5
正誤・解説
1 /
Vに怪我を負わせたことについて、甲には、傷害罪は成立しない。
甲乙は共同して脅迫・暴行に及ぶ計画で、甲が乙の行為を具体的に予想していなくても、結果的加重犯としての傷害結果まで共同正犯が及ぶとされた。したがって甲に傷害罪は成立する。
根拠条文:刑法204条・e-Govで法令を開く刑法208条・e-Govで法令を開く刑法60条・e-Govで法令を開く
刑法204条―現行条文本文
第二百四条 (傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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刑法208条―現行条文本文
第二百八条 (暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
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刑法60条―現行条文本文
第六十条 (共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
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2 /
Vに怪我を負わせたことについて、乙には、傷害罪が成立する。
乙はVに対し暴行を加え、その結果として怪我が発生している。判例は暴行の意思で傷害結果を生じさせた以上、傷害罪が成立するとする。
根拠条文:刑法204条・e-Govで法令を開く刑法208条・e-Govで法令を開く
刑法204条―現行条文本文
第二百四条 (傷害)
人の身体を傷害した者は、十五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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刑法208条―現行条文本文
第二百八条 (暴行)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の拘禁刑若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
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3 /
Vに30万円を交付させたことについて、甲及び乙には、恐喝既遂罪が成立する。
虚偽の事実を示して畏怖させ、現実に30万円を交付させているので、恐喝は既遂となる。共犯者間で行為の意思連絡があり、結果について共同正犯が認められる。
根拠条文:刑法249条第1項・e-Govで法令を開く刑法60条・e-Govで法令を開く
刑法249条第1項―現行条文本文
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法60条―現行条文本文
第六十条 (共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
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4 /
虚偽のビラを配ったことについて、甲には、信用毀損罪も業務妨害罪も成立しない。
甲はそのビラ配布を事前に相談されておらず、乙の単独行為に共同正犯は及ばない。信用毀損・業務妨害はいずれも甲には成立しない。
根拠条文:刑法233条・e-Govで法令を開く刑法60条・e-Govで法令を開く
刑法233条―現行条文本文
第二百三十三条 (信用毀損及び業務妨害)
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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刑法60条―現行条文本文
第六十条 (共同正犯)
二人以上共同して犯罪を実行した者は、すべて正犯とする。
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5 /
乙から15万円を受け取ったことについて、甲には、盗品等無償譲受け罪が成立する。
恐喝で得た金銭は盗品等の「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」には当たらないとされる。したがって甲の受領行為に盗品等無償譲受け罪は成立しない。
根拠条文:刑法256条第1項・e-Govで法令を開く
刑法256条第1項―現行条文本文
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、三年以下の拘禁刑に処する。
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全体要旨
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