刑法 第344問
教材: 刑法③
司法試験 H22 第20問
論点: 犯罪の成否
問題
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【事例】
甲は,乙及びその妻子全員が1週間の旅行に出ていて留守であると聞いていた乙宅に,窃盗の目的で侵入し,金庫を開けたところ,この妻子は旅行中だったものの,一人で在宅していた乙に発見され,「泥棒」と呼ばれた。
甲は,捕まっては大変だと思い,乙にナイフを突き付け,「静かにしろ。」と言ったところ,乙は,慌てて逃げ出そうとして転倒し,暖炉の角に頭部をぶつけた結果,脳内出血を起こして死亡した。甲は,この死亡を確認した上,金庫の中にあった多量の宝石と多額の現金を奪った後,犯行の痕跡を消し去ろうと考えて乙宅に火を放ち,その後,甲は,上記宝石を丙に売却することとしたが,その際,上記事情を知る丁に依頼して,丁が運転する自動車に乗り,丁と一緒に同宝石を丙宅まで運搬した。
【罪名】
ア 強盗致死罪
イ 証拠隠滅罪
ウ 非現住建造物等放火罪
エ 盗品等運搬罪
公式解答
ア1 / イ2 / ウ1 / エ2
正誤・解説
p1 /
強盗致死罪
窃盗目的で侵入後,発見者にナイフを突き付けて反抗を抑圧し,その後に財物を強取している。判例は,強盗の機会に被害者を死亡させた場合,強盗致死が成立するとする。
根拠条文:刑法235条・e-Govで法令を開く刑法243条・e-Govで法令を開く刑法43条・e-Govで法令を開く刑法238条・e-Govで法令を開く刑法240条・e-Govで法令を開く
刑法235条―現行条文本文
第二百三十五条 (窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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刑法243条―現行条文本文
第二百四十三条 (未遂罪)
第二百三十五条から第二百三十六条まで、第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は、罰する。
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刑法43条―現行条文本文
第四十三条 (未遂減免)
犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった者は、その刑を減軽することができる。
ただし、自己の意思により犯罪を中止したときは、その刑を減軽し、又は免除する。
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刑法238条―現行条文本文
第二百三十八条 (事後強盗)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
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刑法240条―現行条文本文
第二百四十条 (強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の拘禁刑に処し、死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑に処する。
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p2 /
証拠隠滅罪
証拠隠滅罪は,自分の刑事事件に関する証拠を隠滅する場合には成立しない。甲の行為は自己の事件の証拠を隠すためのものなので,本罪は成立しない。
根拠条文:刑法104条・e-Govで法令を開く
刑法104条―現行条文本文
第百四条 (証拠隠滅等)
他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金に処する。
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p3 /
非現住建造物等放火罪
被害者宅は旅行中で現に人が住居に使用していない状況であり,現住建造物放火罪ではなく非現住建造物等放火罪が問題となる。判例上も,旅行中で不在なら現住性はないとされる。
根拠条文:刑法108条・e-Govで法令を開く刑法109条第1項・e-Govで法令を開く
刑法108条―現行条文本文
第百八条 (現住建造物等放火)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の拘禁刑に処する。
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刑法109条第1項―現行条文本文
放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物、艦船又は鉱坑を焼損した者は、二年以上の有期拘禁刑に処する。
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p4 /
盗品等運搬罪
盗品等運搬罪は,盗品を運搬する行為だが,自ら強盗して得た財物については重ねて本罪の成立は認められないとする判例がある。したがって成立しない。
根拠条文:刑法256条第2項・e-Govで法令を開く
刑法256条第2項―現行条文本文
前項に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、又はその有償の処分のあっせんをした者は、十年以下の拘禁刑及び五十万円以下の罰金に処する。
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全体要旨
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