刑法 第342問
教材: 刑法③
司法試験 H22 第1問
論点: 犯罪の成否
問題
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【事例】
甲は、知人である乙の家に遊びに行った際、乙の書斎の机の引き出し内に乙名義のキャッシュカード及びその暗証番号を記したメモがあるのを見付けた。甲は、この気付かないうちに同カードを使って預金を下ろしても、短時間で元の場所に戻しておけば発覚することはないだろうと考え、同カードを乙宅から持ち出した。その後、甲は、同カードを使って近くの金融機関の現金自動預払機から現金50万円のお払戻しを受けた上、乙宅に戻り、同カードを持ち出してから約10分後に前記引き出し内に同カードを戻した。その際、甲は、同じ引き出し内に約20万円分の偽造通貨があるのに気付き、これを乙宅から持ち出した。その日の夜、甲は、その偽造通貨を真正の通貨と偽ってホテルでの宿泊代金の支払に使うこととし、Aホテルの従業員丙に宿泊を申し込み、偽造通貨であることを秘し、その偽造通貨で宿泊代金をあらかじめ支払って宿泊した。丙は、偽造通貨であることに気付いていれば、甲を宿泊させることはなかった。 また、甲は、Aホテルに宿泊中にマッサージチェアに偽造通貨を投入してマッサージを受け、さらに、自己が宿泊している客室備付けのドライヤーを自宅で使うと思い、これを勝手に持ち帰った。
公式解答
21222
正誤・解説
ア /
甲が乙名義のキャッシュカードを持ち出した行為については、窃盗罪は成立しない。
乙名義のキャッシュカードでも、他人の占有下にあるカードを自己の占有に移せば窃盗になり得る。事例でも、持ち出しは乙の占有を侵害する行為として窃盗成立を否定できない。
根拠条文:刑法235条・e-Govで法令を開く
刑法235条―現行条文本文
第二百三十五条 (窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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イ /
甲が乙名義のキャッシュカードを使用して現金50万円の払戻しを受けた行為については、窃盗罪が成立する。
判例は、正当な払戻権限のない名義人の預金がATMで払い戻された場合、銀行の現金に対する占有を侵害したとして窃盗罪の成立を認める。
根拠条文:刑法235条・e-Govで法令を開く
刑法235条―現行条文本文
第二百三十五条 (窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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ウ /
甲が偽造通貨で宿泊代金を丙に支払って宿泊した行為については、偽造通貨行使罪及び詐欺罪が成立し、両罪は牽連犯となる。
偽造通貨を用いて財物・役務の給付を受けた場合、財物等の取得は偽造通貨行使の所為中に包摂され、別に詐欺罪を構成しないとする判例の立場。
根拠条文:刑法148条第2項・e-Govで法令を開く刑法246条第1項・e-Govで法令を開く
刑法148条第2項―現行条文本文
偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
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刑法246条第1項―現行条文本文
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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エ /
甲がマッサージチェアに偽造通貨を投入した行為については、偽造通貨行使罪は成立しない。
偽造通貨を使用する意思をもって流通に置く態様であれば、相手方に交付した場合に限られず行使に当たる。機械への投入でも行使性は否定されない。
根拠条文:刑法148条第2項・e-Govで法令を開く
刑法148条第2項―現行条文本文
偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使の目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項と同様とする。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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オ /
甲がドライヤーを持ち帰った行為については、横領罪が成立する。
横領罪は自己の占有する他人の物が前提だが、客室備付けのドライヤーはホテル側の占有物であり、甲の占有物ではない。したがって横領罪ではなく、窃盗の問題となる。
根拠条文:刑法252条第1項・e-Govで法令を開く
刑法252条第1項―現行条文本文
自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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全体要旨
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