刑法 第318問
教材: 刑法③
司法試験 H18 第5問
論点: 横領罪と背任罪
問題
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【事例】
ア 甲は、自己の所有する不動産を乙に売却して代金を受領した後、所有権移転登記をしない間に、乙に無断で、借金をしている丙のため、その不動産に抵当権を設定して登記を完了した。
イ 甲は、乙から、乙がAに金員を貸し付けて質物として交付を受けたA所有の高級腕時計の鑑定を頼まれ、このためにこの時計を保管していたが、Aから返還を求められたことに応じ、乙に無断で、この時計をAに交付した。
ウ 乙株式会社では、開発したコンピュータプログラムは乙会社の顧客にだけ使用させるとの内規があったにもかかわらず、そのプログラムを自己のCD-ROMで管理していた乙会社営業課長丙は、内規に違反し、乙会社の顧客ではない知人Aの依頼に応じ、乙会社に無断で、そのCD-ROMを社外に持ち出して、プログラムをA方のコンピュータに入力した。
エ Aは、自己の所有する不動産を乙に売却して代金を受領した後、所有権移転登記をするまでの間に、その不動産を更に甲に売却しようとしたところ、甲は、Aがその不動産を既に乙に売却済みかもしれないとの未必的な認識を有しながら、この点を確認しないまま、Aからその不動産を購入して登記を完了した。
オ 甲は、乙に対する債務の担保として、乙のため、自己の所有する不動産に抵当権を設定したが、抵当権設定登記をしない間に、乙に無断で、借金をしている丙のため、その不動産に一番抵当権を設定して登記を完了した。
公式解答
5. エⅢーオⅡ
正誤・解説
I /
横領罪が成立する。
結論Ⅰは横領罪成立の類型だが、本問の各事例では該当するものとして扱われていない。説明ではア・オは背任罪、イは背任罪、ウは背任罪、エは無罪と整理されている。
根拠条文:刑法252条第1項・e-Govで法令を開く刑法253条・e-Govで法令を開く刑法247条・e-Govで法令を開く
刑法252条第1項―現行条文本文
自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の拘禁刑に処する。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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刑法253条―現行条文本文
第二百五十三条 (業務上横領)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法247条―現行条文本文
第二百四十七条 (背任)
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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II /
背任罪が成立し、横領罪は成立しない。
説明ではア・イ・ウ・オはいずれも背任罪に分類され、横領罪ではないとされている。
根拠条文:刑法252条第1項・e-Govで法令を開く刑法253条・e-Govで法令を開く刑法247条・e-Govで法令を開く
刑法252条第1項―現行条文本文
自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の拘禁刑に処する。
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第二百五十三条 (業務上横領)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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第二百四十七条 (背任)
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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III /
横領罪も背任罪も成立しない。
説明ではエについて、この事例は民法上の論点はあっても刑法上の背任・横領には当たらないとしている。したがって本結論Ⅲに入るのはエのみで、全体としてはこれ自体が正答群の一部となる。
根拠条文:刑法252条第1項・e-Govで法令を開く刑法253条・e-Govで法令を開く刑法247条・e-Govで法令を開く
刑法252条第1項―現行条文本文
自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の拘禁刑に処する。
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第二百五十三条 (業務上横領)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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第二百四十七条 (背任)
他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
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全体要旨
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