刑法 第294問
教材: 刑法③
司法試験 R01 第2問
論点: 強盗殺人未遂罪
問題
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【事例】
甲及び乙は、宝石商の丙から宝石を奪うことを計画した。その計画は、甲が、宝石取引のあっせんにかこつけてホテルの一室に丙を呼び出し、別室の顧客に見せる必要があるようそを言って丙から宝石を受領し、甲の退室後に、乙が同室に入って丙を殺害するという内容であった。
甲は、計画に従って、ホテルの一室で丙から宝石を受領して退室し、それと入れ替わりに同室に立ち入った乙が丙の腹部を包丁で刺し、丙に重傷を負わせたが、殺害には至らなかった。
【記述】
ア.甲が丙から宝石を受領した行為について詐欺罪が成立すると考えた場合、甲及び乙に、事後強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
イ.甲が丙から宝石を受領した行為について詐欺罪が成立すると考えた場合、同一の被害を二重に評価することはできないため、甲及び乙が、丙から宝石の代金相当額の支払を免れる意図を持っていたとしても、甲及び乙に、殺人未遂罪が成立するときは、いわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
ウ.甲及び乙が、丙から宝石の代金相当額の支払を免れる意図を持っていたとしても、丙がこれを免除又は猶予する旨の財産的処分行為をしていないため、甲及び乙に、いわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
エ.乙が丙の腹部を包丁で刺した行為が、丙から宝石の占有を奪取する手段とならないと考えた場合、甲及び乙に、いわゆる一項強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
公式解答
3. 2個
正誤・解説
ア /
甲が丙から宝石を受領した行為について詐欺罪が成立すると考えた場合、甲及び乙に、事後強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
解説では、詐欺罪が成立する前提では、後続行為を事後強盗として評価できないとしてアを〇としています。
根拠条文:刑法236条第1項・e-Govで法令を開く刑法236条第2項・e-Govで法令を開く刑法238条・e-Govで法令を開く刑法240条・e-Govで法令を開く
刑法236条第1項―現行条文本文
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期拘禁刑に処する。
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刑法236条第2項―現行条文本文
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
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刑法238条―現行条文本文
第二百三十八条 (事後強盗)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
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刑法240条―現行条文本文
第二百四十条 (強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の拘禁刑に処し、死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑に処する。
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イ /
甲が丙から宝石を受領した行為について詐欺罪が成立すると考えた場合、同一の被害を二重に評価することはできないため、甲及び乙が、丙から宝石の代金相当額の支払を免れる意図を持っていたとしても、甲及び乙に、殺人未遂罪が成立するときは、いわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
解説では、詐欺罪と二項強盗は法益・構成要件が異なり、同一の被害の二重評価に当たらないとして、イを×としています。
根拠条文:刑法236条第2項・e-Govで法令を開く刑法238条・e-Govで法令を開く刑法240条・e-Govで法令を開く
刑法236条第2項―現行条文本文
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
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刑法238条―現行条文本文
第二百三十八条 (事後強盗)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
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刑法240条―現行条文本文
第二百四十条 (強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の拘禁刑に処し、死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑に処する。
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ウ /
甲及び乙が、丙から宝石の代金相当額の支払を免れる意図を持っていたとしても、丙がこれを免除又は猶予する旨の財産的処分行為をしていないため、甲及び乙に、いわゆる二項強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
解説では、二項強盗の成立に財産的処分行為は必須ではなく、支払免脱目的で反抗抑圧手段を用いれば足りるとして、ウを×としています。
根拠条文:刑法236条第2項・e-Govで法令を開く
刑法236条第2項―現行条文本文
前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
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エ /
乙が丙の腹部を包丁で刺した行為が、丙から宝石の占有を奪取する手段とならないと考えた場合、甲及び乙に、いわゆる一項強盗による強盗殺人未遂罪が成立することはない。
解説では、暴行が財物奪取の手段でないなら一項強盗は成立しないとして、エを〇としています。
根拠条文:刑法236条第1項・e-Govで法令を開く刑法240条・e-Govで法令を開く
刑法236条第1項―現行条文本文
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期拘禁刑に処する。
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刑法240条―現行条文本文
第二百四十条 (強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の拘禁刑に処し、死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑に処する。
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全体要旨
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