刑法 第290問
教材: 刑法③
司法試験 H18 第11問(改)
論点: 事後的奪取意思と強盗
問題
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【事例】
甲と乙は,Vと性交しようと企て,共謀の上,暴行・脅迫を加えてVと性交した。その後,乙は,性交されて同意しない意思を形成し,表明し又は全うすることが困難な状態になった同人に対し,更に執拗にわいせつ行為をしたが,甲は,見張りをしていた。その際,甲は,足下にVのバッグがあることに気付き,財物奪取の犯意を生じ,乙がわいせつ行為を続けていて甲を見ておらず,また,性交されたことに加え,執拗にわいせつ行為をされたことによってVが全く反抗できない状態にあることを確認し,バッグから現金を取り出して自分のズボンポケットに入れた。
公式解答
3
正誤・解説
1 /
他の目的による暴行・脅迫で被害者が反抗抑圧状態になった後に財物奪取の犯意を生じ,財物を奪取した事例において,犯意を生じた後,財物奪取の手段となる新たな暴行・脅迫が全くなく,単に反抗抑圧状態に乗じて財物を奪取したにすぎない場合に強盗罪の成立を認めることは,強盗の場合には不同意性交等の場合の「その状態にあることに乗じて」(刑法第177条第1項柱書)のような規定がないのに,それと同じような行為を強盗罪として処罰することになり,罪刑法定主義に反し許されないと解すべきである。
解説は、事後的奪取意思後に新たな暴行・脅迫がなくても、反抗不能状態に乗じた強盗成立を肯定できるとしている。よって、これを否定する本肢は、見解と明らかに矛盾する。
根拠条文:刑法177条第1項・e-Govで法令を開く刑法236条第1項・e-Govで法令を開く
刑法177条第1項―現行条文本文
前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
ローカル法令全文で確認 / e-Govで現行法令を確認
過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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刑法236条第1項―現行条文本文
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期拘禁刑に処する。
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2 /
他の目的による暴行・脅迫で被害者が反抗抑圧状態になった後に財物奪取の犯意を生じ,財物を奪取した事例において,犯意を生じた後,財物奪取の手段となる新たな暴行・脅迫がある場合は強盗罪の成立を認めることができる。ただし,その暴行・脅迫の程度について,一般的に,通常の強盗の場合に比べ軽い程度のもので足りると解すべきではない。
解説は、新たな暴行・脅迫がある場合の強盗成立を肯定し、その程度も通常の強盗より軽くてよいとしている。したがって、これを否定する本肢は見解と矛盾する。
根拠条文:刑法236条第1項・e-Govで法令を開く
刑法236条第1項―現行条文本文
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期拘禁刑に処する。
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3 /
財物奪取の手段となる新たな暴行・脅迫がある場合に強盗罪の成立を認める点において,2の記述と同じである。なお,その暴行・脅迫の程度について,不同意性交等が先行するような事例では,通常の強盗の場合に比べ軽い程度のもので足りる場合もあると解すべきである。
解説は、不同意性交等が先行する事例では、財物奪取のための暴行・脅迫が通常の強盗より軽くても足りる場合があるとしている。したがって本肢は見解に沿う。
根拠条文:刑法236条第1項・e-Govで法令を開く刑法177条第1項・e-Govで法令を開く
刑法236条第1項―現行条文本文
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期拘禁刑に処する。
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刑法177条第1項―現行条文本文
前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
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4 /
本件において,不同意性交等後の乙のわいせつ行為は,不同意性交等の共謀に基づくもので甲も罪責を負うべき共同の暴行行為であると解すべきである。
解説は、甲は乙がわいせつ行為を継続しているのを見ていたにすぎず、乙のその行為を甲自身の暴行行為と評価して強盗成立を認める構成を採っている。よって本肢は見解と矛盾する。
5 /
本件において,仮に,甲が財物奪取の犯意を生じた時点で,Vが不同意性交等をされて意識を失っていた場合には,窃盗罪が成立するにとどまり,強盗罪の成立を認めることはできないと解すべきである。
解説は、意識を失っていても反抗不能状態にあるにすぎず、強盗成立を否定できないとしている。したがって、本肢は見解と明らかに異なる。
全体要旨
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