刑法 第289問
教材: 刑法③
司法試験 H19 第15問
論点: ひったくりと強盗
問題
問題画像

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【事例】
甲は、夜間、普通乗用自動車を運転し、人通りが少ない一方通行の狭い道路を進行中、右前方を歩いている女性乙がショルダーバッグを左肩に掛けているのを認め、同バッグを奪い取ろうと考え、同車で乙を追い抜きざま、運転席窓から右手を出して同バッグをつかんで引っ張った。乙は、同バッグを引っ張られた勢いで路上に転倒したものの、同バッグを奪われまいとして、そのさげひもから手を離さなかったので、甲は、乙から同バッグを奪い取るため、乙の身体を同バッグごと引きずることを認識しながらそのまま加速して運転を続けた。甲は、約20メートルにわたって乙の身体を引きずったが、乙は、同バッグから手を離さなければ、同車の車輪に巻き込まれたり、道路脇の壁に衝突するなどして重傷を負いかねないという危険を感じ、やむなくそのさげひもからも手を離し、甲は、同バッグをつかんだまま同車で逃走した。乙は、前記のとおり路上を引きずられたことにより、約2週間の加療を要する右足関節捻挫等の傷害を負った。
1.事後強盗(刑法第238条)が人を負傷させたものとして、強盗致傷罪が成立する。
2.強盗致傷罪は成立せず、窃盗罪と傷害罪が成立する。
3.強盗(刑法第236条第1項)が人を負傷させたものとして、強盗致傷罪が成立する。
4.強盗罪のみが成立する。
5.窃盗罪と業務上過失傷害罪が成立する。
公式解答
3
正誤・解説
p1 /
事後強盗(刑法第238条)が人を負傷させたものとして、強盗致傷罪が成立する。
事例では、財物奪取のために被害者の身体を引きずっており、説明画像では事後強盗ではなく刑法236条1項の強盗として扱っている。したがって「事後強盗」を前提に強盗致傷とするのは誤り。
根拠条文:刑法238条・e-Govで法令を開く
刑法238条―現行条文本文
第二百三十八条 (事後強盗)
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
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過去問出題時点の旧条文と異なる場合があります。
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p2 /
強盗致傷罪は成立せず、窃盗罪と傷害罪が成立する。
説明画像は、暴行に当たる引きずり行為により被害者に傷害が生じたとして、強盗致傷罪の成立を肯定している。窃盗罪と傷害罪に分ける結論ではない。
p3 /
強盗(刑法第236条第1項)が人を負傷させたものとして、強盗致傷罪が成立する。
説明画像では、236条1項の強盗が、被害者を車で引きずって負傷させたとして強盗致傷罪の成立を認めている。判例要旨も、財物奪取のため被害者を引きずって傷害を負わせた場合に強盗致傷となるとしている。
根拠条文:刑法236条第1項・e-Govで法令を開く刑法240条・e-Govで法令を開く
刑法236条第1項―現行条文本文
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期拘禁刑に処する。
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刑法240条―現行条文本文
第二百四十条 (強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の拘禁刑に処し、死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑に処する。
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p4 /
強盗罪のみが成立する。
被害者に約2週間の加療を要する傷害が生じているため、強盗罪だけで終わらず、傷害結果を伴う罪の成否が問題となる。説明画像の正解も3。
根拠条文:刑法240条・e-Govで法令を開く
刑法240条―現行条文本文
第二百四十条 (強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の拘禁刑に処し、死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑に処する。
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p5 /
窃盗罪と業務上過失傷害罪が成立する。
本件は業務上の過失による傷害ではなく、財物奪取のために被害者を引きずって負傷させた事案である。説明画像では窃盗・業務上過失傷害ではなく強盗致傷罪としている。
根拠条文:刑法211条・e-Govで法令を開く刑法236条第1項・e-Govで法令を開く刑法240条・e-Govで法令を開く
刑法211条―現行条文本文
第二百十一条 (業務上過失致死傷等)
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。
重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。
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刑法236条第1項―現行条文本文
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期拘禁刑に処する。
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刑法240条―現行条文本文
第二百四十条 (強盗致死傷)
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の拘禁刑に処し、死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑に処する。
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全体要旨
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