刑法 第281問
教材: 刑法③
司法試験 H30 第8問
論点: 窃盗罪
問題
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甲の罪責について判例の立場に従って検討した場合
公式解答
4. ウ エ
正誤・解説
p1 /
甲が、自然湖の一部に設けられた乙のいけすから逃げ出した所有者の錦鯉30匹を、同湖内の同いけすから離れた場所で発見し、乙が所有する錦鯉であると認識しながら、これらを自己のものにしようと考えて捕獲した場合、窃盗罪が成立する。
判例は、いったん池外に逃げた鯉でも、所有者の支配を離れたとはいえない事情があれば占有を認め得るとしているが、この事例文のように「同いけすから離れた場所」で発見して捕獲しただけで直ちに窃盗成立とはいえない。
根拠条文:刑法235条・e-Govで法令を開く刑法254条・e-Govで法令を開く
刑法235条―現行条文本文
第二百三十五条 (窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法・e-Gov法令APIから取得した現行条文(取得日時: 2026-07-26T23:14:50)
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刑法254条―現行条文本文
第二百五十四条 (遺失物等横領)
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
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p2 /
甲は、パチスロ機に針金を差し込んで誤作動させてメダルを窃取することを乙と共謀し、乙による窃盗の犯行を周囲から見えにくくするため、乙の隣のパチスロ機で通常の遊技を行い、それによりメダルを取得した。この場合、甲自身が遊技したパチスロ機で取得したメダルについても窃盗罪が成立する。
判例は、共同正犯であっても、自ら通常の遊技方法で取得したメダルについては、店側が容認する取得にあたり窃盗とはいえないとしている。
p3 /
甲が、乙から封かんされた現金20万円入りの封筒を渡されてそれを丙に届けるように依頼されたが、丙に向かう途中で封筒内の現金が欲しくなり、封を開けて封筒に入っていた現金のうち5万円を取り出してこれを自己のものとし、残りの現金が入った封筒を丙に交付した場合、取り出した5万円について窃盗罪が成立する。
封筒中の現金は、封かんされた状態でも他人の占有下にあるとされ、途中で開封して一部を取り出せば、その部分について窃取が認められる。
p4 /
甲が、乙から、乙が海中に落とした腕時計の引き揚げを依頼され、その腕時計が落ちた場所の大体の位置を指示された。甲が、乙から指示された海中付近を探索した結果、同腕時計を発見したが、それを乙に知らせることなく、同腕時計を引き揚げて自己のものとした場合、窃盗罪が成立する。
海中に落ちた物でも、落下場所の特定があり依頼者の管理支配が及ぶ状況なら、依頼者の占有が認められ、無断で引き揚げれば窃盗となる。
p5 /
甲が、満員電車に乗っていた際、隣の席に座っていた見ず知らずの乙が財布を座席に置き忘れたままX駅で下車したのを目撃し、この財布とその中身を自己のものにしようと考え、次のY駅に到着した時点でこの財布を取得した上、同駅で下車し自宅に持ち帰った場合、窃盗罪が成立する。
判例は、列車内に置き忘れられた遺留品は、列車の乗務員が法令上の関係で保管・引渡しの権能を有し、遺失物法上は遺失物として扱われるとして、窃盗ではなく遺失物横領とする。
根拠条文:刑法253条・e-Govで法令を開く刑法10条・e-Govで法令を開く
刑法253条―現行条文本文
第二百五十三条 (業務上横領)
業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の拘禁刑に処する。
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刑法10条―現行条文本文
第十条 (刑の軽重)
主刑の軽重は、前条に規定する順序による。
同種の刑は、長期の長いもの又は多額の多いものを重い刑とし、長期又は多額が同じであるときは、短期の長いもの又は寡額の多いものを重い刑とする。
二個以上の死刑又は長期若しくは多額及び短期若しくは寡額が同じである同種の刑は、犯情によってその軽重を定める。
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全体要旨
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